今のスマホゲームの土台を作ったソシャゲ ~SNSとゲームの関係、そして課金制度は生まれた~【通信ゲーム・ヒストリア 第7回】

テキスト: 多根清史

前回の最後に告知していたように、今回は「ソーシャルゲーム」と呼ばれるジャンルの話をしたいと思います。

元祖ソーシャルゲームの『釣り★スタ』

まず、なぜ現代のスマートフォン用ゲームが「ソシャゲ」、つまりソーシャルゲームと呼ばれるのか。それは「携帯電話で遊ぶゲーム」の原点が、「Facebook」などのSNS(ソーシャルネットワークサービス)と切っても切れない関係があったからです。

日本のモバイルゲームを代表する「DeNA」や「GREE」、そして「mixi」(『モンスターストライク』を開発したスタジオ「XFLAG」の印象が強いのですが)はSNSが出発点、ないしは大きな転機となっています。

元祖ソーシャルゲームの『釣り★スタ』

今でこそゲームで知られる「GREE」も、元々はパソコン向けのSNSからスタートした企業なのを知っていましたか?そして「mixi」「GREE」、今や世界最大手の「Facebook」も、同じ2004年にSNSビジネスを開始していたりします。

前々回では日本の携帯電話が進化し、やがてインターネットに接続できるまでをお話ししましたが、それは「パソコンで楽しんでいたサービスが、携帯電話でも使えるようになる」流れでもありました。
そんなわけで、パソコンで大流行したSNSが携帯電話にもやってきたんです。

2005年には「GREE」が携帯電話向けのモバイルサービスを始め、2006年には「DeNA」が「モバゲータウン(後に「Mobage」に改名)」をリリース。
後者は有料ゲームも提供していましたが、収入はあくまで広告料金だけ……。広告をクリックしたりするともらえる仮想通貨(モバG)を使ってアバターを飾れるという仕組みで、ゲームから収益を上げることは基本的にありませんでした。

そこに大きな転換をもたらしたのが、2007年に「GREE」が送り出した『釣り★スタ』です。
ウキが沈めばボタンを押して魚を釣り、逃げ回る魚がマトの中心にきたところでボタンを押して……、とポチポチするだけの簡単な操作が魅力的でした。ですが、基本プレイ無料に加えて、アイテム(釣り竿など)は課金制という画期的なビジネスモデルを確立したのはこのゲームなんです。

さらにやり込み性も加えられ、SNSでの人の繋がりからユーザー同士の接触も発生。競い合ったり、話に花を咲かせるようになりました。そんなふうに「ソーシャル性+携帯電話ゲーム=ソーシャルゲーム」というジャンルが根づいていったのです。

そもそも「GREE」がモバイル事業に進出したのは「携帯ゲーム機のDSやPSPの売上が据え置き型ゲーム機のそれを上回った」(前回お話ししたことです)ことがきっかけだったそうです。また無料プレイ+アイテム課金制はパソコン用の『スカッとゴルフ パンヤ』が人気だったこともあり、それ以前にあった、ゲーム業界の様々な伏線が1つになっている感がありますね。

2007年といえば、初代iPhoneが発売された年でもあります。当時、日本では本体が発売されなかった上に、後にモバイルゲームの中心にもなるアプリストアの「App Store」はまだありませんでした。スマートフォンの王様とも言えるiPhoneが誕生した年は、意外と静かだったのです。

「Facebookプラットフォーム」と「App Store」の誕生

ちょうど同じ2007年、海外SNS「Facebook」にも大きな動きがありました。それは「Facebook」内で動くアプリを開発できる「Facebookプラットフォーム」のスタートです。要は様々なゲームメーカーが、Webブラウザで手軽に遊ぶことができ「Facebook」の機能と連携するゲームを作れるようになったわけです。

そして生まれた代表的な大ヒットゲームが、「Zynga」が開発した『FarmVille(日本名は「ファームヴィレッジ」)』と『Mafia Wars(マフィアウォーズ)』の2つ。これは、ファーム(農場)系とウォーズ(抗争)系の草分け的な存在であり、それに続く多くのフォロワーを生み出して、一ジャンルを築き上げたアプリと言えるでしょう。

簡単に説明すると、『ファームヴィレッジ』は自分の畑で農作物を植えて収穫し、お金を稼ぐ、一方では他のユーザーに贈り物をして互いに助け合うスタイル。
『マフィアウォーズ』は他のメンバーとともに仮想マフィアファミリーを作り、マネーを稼いで武器を買い、そして「仕事」をしてもっと稼ぐ。
どちらもSNSならではの「人の繋がり」が組み込まれています。

これら2本は、後にソーシャルゲームの基礎となるシステムを導入していました。それは「1回のプレイ時間は短いが、レベルを上げるには毎日プレイし続ける必要がある」ということ。1週間連続でログインすればもらえるボーナス等は、現代のスマホゲームにも受け継がれている要素ですね。

さらにもう1つ、いわゆる「スタミナ制」の導入。ゲームを遊ぶとスタミナが減少し、ゼロになれば遊べなくなる……。それは時間が経てば回復するけれど、待ちきれない人はゲーム内の回復アイテムをお金で買う……ということで、課金方式が確立したわけです。

そして翌2008年夏には、日本を含めた全世界でiPhone 3Gが発売され、アプリが買える「App Store」がようやくオープン。いよいよスマートフォンが巨大な「ゲームの遊び場」となる舞台が整ったのです。

「農場」と「ロワイヤル」系の大ヒット、そしてガチャの発明

「農場」と「ロワイヤル」系の大ヒット、そしてガチャの発明

アメリカで起こったソシャゲの大波は、翌2009年に日本へも打ち寄せました。『サンシャイン牧場』と『怪盗ロワイヤル』の大ヒットです。

国内大手SNSだった「mixi」は、「Facebook」に続くように「mixiアプリ」を開始。『テトリス』や『グラディウス』などの名作ゲームがある中で、人気爆発したのが『サンシャイン牧場』でした。基本的には『ファームヴィレッジ』と同じファーム系ながらも、「虫入れ」や「いたずら」など、プレイヤー同士でやり合うことでお互いの収穫量が増やせる要素が入れられ、マイミク(相互フォロワー)同士が言葉をかわさずに緩く交流できる仕組みが好評を得たのです。

また『怪盗ロワイヤル』は「DeNA」が自社の「モバゲータウン」と「mixiモバイル(携帯電話サービス)」で配信した作品。こちらは『マフィアウォーズ』の進化形ともいえるゲームで、怪盗というだけに他のプレイヤーと宝石を奪い合う、バトルロワイヤル要素が強化されており、ドタバタ楽しくプレイできるわけです。

『サンシャイン牧場』は提供開始からわずか3ヶ月でユーザー数が300万人を突破。『怪盗ロワイヤル』も数百万人のユーザーを獲得して、モバゲーの売上高を飛躍的に伸ばしました。これら2つの大成功に惹かれて次々と他社も参入し、「ファーム系」と「ロワイヤル系」が市場にあふれかえりました……。

コナミが満を持して発表した「ガチャ」システム

コナミが満を持して発表した「ガチャ」システム

そこに『ドラゴンコレクション(ドラコレ)』を引っさげて参入したのが、ゲームメーカーの老舗である「コナミ」でした。
すでに知名度のある作品の外伝ではなく、完全オリジナルタイトル。しかもカードやファンタジー、RPGといった王道をテーマとして「ソーシャルといえば農場や日常もの」という風潮の中で、大成功を収めたのでした。
「ドラコレ」が革命的だったのは、課金アイテムを「消えない」ものにしたことです。それまではスタミナ回復薬や釣り竿など「壊れる」「消費する」ものが基本でしたが、それを手元に残るカード(キャラクター)に取り替えた上で「コレクションして、育てられる」ようにしたわけです。
そしてそれらのカードを入手する手段として発明されたのが、今やほとんどの基本無料ゲームに採用されている「ガチャ」要素です。カプセルトイのガチャガチャのように、どんなカードが手に入るか分からないから「ガチャ」、言い得て妙ですね。

より強力な、珍しいカードが欲しいという想いに突き動かされてガチャを回し続ける。それが行き着く先が、特定の複数カードをすべて揃えるとレアカードが手に入る「コンプリートガチャ」というもの。
これは多額の課金が発生することもあって消費者庁により禁止されましたが、「ガチャ」は現在のソシャゲビジネスの主軸として残り続けています。

こうしてソーシャルな「人の繋がり」を手がかりとして、日本の携帯電話ゲームは基本無料+アイテム課金、そしてガチャシステムを取り入れてビジネスモデルを確立しました。が、そこに「スマートフォン」の波が押し寄せ、またしても根底から変わっていくのです……。

今回はここまで! 次回はスマホアプリについて考察していこうと思います。


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