自宅にオンラインゲーム専用のプライベートサーバーを構築する場合や、外出先から自宅の防犯カメラにアクセスしたい場合など、特定の状況において「ポート開放」の設定が必要になるシーンに直面することがあるかもしれません。
ポートを開放することで、外部からの接続が容易になる一方、サイバー攻撃などの被害にあうリスクも高まります。ポートを開放するメリットとリスクを理解しないまま設定すると、セキュリティー上の深刻な問題につながる可能性も。
この記事では、ポート開放とは何か、そしてその危険性や対策についても解説します。
ライター: CLIP編集部
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ポート開放とは?
ポート開放とは、特定のポート番号から外部の通信を受け付けられるように設定することを指します。ポートはコンピューターやルーターなどのネットワーク機器にとって玄関のような役割です。
通常、ネットワーク機器は外部からの不正なアクセスを防ぐために初期設定で通信を制限しています。しかし、利用するサービスによって、この制限が影響を及ぼす場合があるため、ポート開放の設定を行い、必要な通信を許可します。
ポート開放することで可能になること

ポート開放することで、どのようなことが可能になるのでしょうか。ここでは、2つ紹介します。
自宅パソコンを経由して友人とオンラインゲームを楽しむ
友人とオンラインゲームを楽しむために、自宅にプライベートサーバーを構築し、そこに友人を招いて一緒にプレイする際にポート開放することがあります。
ゲーム側で提供されている公式サーバーを利用する方法もありますが、拡張性に制限があったり、設定を自由に変えられない場合があったりするのが難点です。その一方、自宅のプライベートサーバーであれば自分の好きなように拡張できる、サーバーの仕様を好きなように変更できるといった利点があります。
また、ポート開放によって通信経路が確保されれば、仲間内だけで世界観を共有できるため、思い通りの設定でゲームを楽しむことができるようになります。
外部との通信が必要なプログラムを作動できる
外部と通信を行うプログラムを作動させる必要がある場合、ポート開放を行うことで利用することができるようになります。
たとえば、自宅の防犯カメラの映像や音声をリアルタイムでスマートフォンから確認したい場合、ポート開放を行うことで外部からのアクセスが可能になります。さらに、映像や音声の圧縮設定や解像度を適切に調整することで、ネットワークの帯域幅やデータ容量の制限に応じた品質での伝送も可能です。
ただし、防犯カメラの機種によっては、スマートフォンの専用アプリを通じて映像や音声を確認できるものもあります。設定に不安がある場合は、アプリ経由で簡単に利用できる防犯カメラを選ぶのもひとつの方法です。
ポート開放が危険な3つの理由

基本的に、ポート開放はセキュリティーリスクが非常に高いことから設定を推奨されていません。ここでは、ポート開放が危険とされている理由について紹介します。
データが破壊されるリスクがある
ポート開放を行うと、外部からのアクセスを許可することになるため、大切なデータが破壊されるリスクが高まります。
たとえば、攻撃者にパソコンへ不正侵入されると、保存している写真や動画、仕事のファイルが勝手に削除されたり、書き換えられたりする可能性があるのです。
さらに、ランサムウェア攻撃を受けると、データがすべて暗号化されて開けなくなるケースもあります。攻撃者から「復元したければ身代金を払え」と要求されることもありますが、支払ったとしてもデータが必ず戻るとは限りません。
マルウェアに感染する危険性が高まる
ポート開放を狙って、攻撃者がマルウェアをターゲットに送り込むことがあります。
たとえば、開放したポートを通じてパソコンがマルウェアに感染すると、動作が重くなったり、勝手に再起動を繰り返したりするなど、不自然な挙動が発生します。最悪の場合、システムが正常に動作せず、パソコンが使用不能になる恐れも。
また、気づかないうちにスパイウェア(ユーザーの許可なく個人情報や行動データを収集する悪意のあるソフトウェア)が侵入し、保存していた写真や動画、パスワードなどの個人情報が盗まれる可能性もあるでしょう。
・関連記事:マルウェアとは?種類・感染経路と対策を知ろう
サイバー攻撃に悪用される危険性がある
ポート開放が悪意のある第三者に知られると、知らないうちにサイバー攻撃に悪用される危険性があります。
たとえば、ポート開放されたシステムに侵入され遠隔操作用の不正プログラム(ボット)を仕掛けられると、被害者のパソコンは攻撃者に乗っ取られてしまいます。さらに他のボットと連携して「ボットネット」を形成することで、知らないうちに大規模なDDoS攻撃などの踏み台として悪用されてしまうのです。
ポート開放でのセキュリティー対策の方法3選

ポート開放には上記のようなさまざまな危険性があります。それでもポート開放の必要性が発生した場合に備え、ここでは、ポート開放を実施する際に考慮すべきセキュリティー対策について紹介します。
使用しないポートは開けない
ポート開放はセキュリティー上、非常に危険な行為であるため、基本的には推奨されません。そのため、使用しないポートは開放せず、利用が終わったら必ず閉じるようにしましょう。「とりあえずすべてのポートを開けてみる」といった行為は避けるべきです。
もし、設定に自信がない場合や技術的に難しいと感じる場合は、マルチサーバーを提供しているレンタルサーバーを活用するのもおすすめです。 自宅のネットワークで運用するよりもセキュリティーリスクが低く、簡単にマルチプレイを楽しめます。
OS・ソフトウェアは常に最新の状態を保つ
ポート開放を行うと、常に外部からの通信を受け付ける状態になるため、セキュリティー上のリスクが高まります。そのため、ポート開放をしている際は特に使用しているOSやソフトウェアを常に最新のバージョンに保つようにしましょう。
自分で管理するのが難しい場合は、自動更新機能の利用や、最新バージョンの配布を通知してくれるツールの活用がおすすめです。
セキュリティーソフトやツールを活用する
ポート開放をすると、外部からの不正アクセスのリスクが高まるため、セキュリティーソフトやツールを活用することもおすすめです。特に、ネットワークの監視や脅威の検知、ログの取得が可能なツールを導入することで、攻撃の兆候を早期に発見し、対策しやすくなります。
たとえば、ファイアウォール機能を備えたウイルス対策ソフトを導入することで、悪意のある通信をブロックし、不正アクセスを防げます。さらに、侵入検知システム(IDS)や侵入防止システム(IPS)などのふるまい検知機能を搭載したセキュリティーソフトを使用すれば、怪しい動作をするプログラムをリアルタイムで検出し、マルウェア感染のリスクの軽減が期待できます。
・関連記事:セキュリティー対策の超基本!ファイアウォールとは
まとめ
ポート開放は、外部から自宅ネットワークへアクセスできるようにするための設定です。オンラインゲームの自宅サーバー運用や、防犯カメラの遠隔監視などで、場合によっては必要になるケースがある一方、サイバー攻撃やマルウェア感染などのリスクが伴います。
基本的に、ポート開放はセキュリティーリスクが非常に高いことから設定を推奨されていないため、もしポート開放の必要性に迫られた場合は、そのリスクを十分に理解したうえで検討しましょう。
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