インターネットの有線接続に欠かせないLANケーブルですが、長年利用していると少しずつ劣化していきます。トラブルが発生する前に交換するのがベストですが、交換すべきタイミングが分からないという方もいるでしょう。この記事では、LANケーブルの寿命や交換時期の目安、ケーブルを交換する際の注意点について紹介します。
ライター: CLIP編集部
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LANケーブルの寿命は?

LANケーブルの寿命は、法定耐用年数から把握できます。財務省の文書を確認すると、LANケーブルに該当する「ツイストペアケーブル」の法定耐用年数は18年となっています。
ただし、法定耐用年数はあくまで税法上で定められた機器の寿命であり目安ともいえるものなので、寿命を超えても問題なく動作する場合もあれば、何らかの理由で早く異常をきたすこともあり得ます。
社団法人「日本電線工業会」が公表した資料ではLANケーブルに該当する「低圧ケーブル」を屋内で使用した場合の耐用年数は20~30年となっており、トラブルや劣化が見られない場合は、20年以上使用することもできるでしょう。
出典:国税庁「LAN設備の耐用年数の取扱いに関する質疑応答」
出典:社団法人日本電線工業会「電線・ケーブルの耐用年数について」
LANケーブルが劣化する原因と交換時期の目安

財務省や日本電線工業会の耐用年数を確認すると、LANケーブルの寿命はおおよそ20年程度と考えることができます。しかし、「短期間しか使用していないのにLANケーブルに不調が……」とお悩みの方もいるでしょう。その原因は、使い方にあるかもしれません。ここでは、LANケーブルが劣化する原因と交換の目安を紹介します。
LANケーブルが劣化する4つの原因
LANケーブルは主に以下の4つの原因で劣化します。
1.ケーブルやコネクタに負荷がかかっている
ケーブルやコネクタに過度の負荷がかかると、短期間でも劣化します。以下のような使い方をしている場合は、ケーブルやコネクタが劣化しやすくなります。
- 床に乱雑に配線されていて頻繁に踏んでしまう
- デスクや椅子の脚部で踏みつけている
- 過度な曲げや引っ張りがある状態で配線されている
- PCなどを動かす際にLANケーブルがよく引っ張られる
など
これらに心当たりがある方は、使い方や配置を見直してみるとよいでしょう。
2.外的環境(高温・多湿・紫外線など)の影響
室内であっても外的環境の影響を受けやすい位置にLANケーブルがあると、劣化が早まることがあります。
劣化の主な原因になり得るのは温度・湿度・紫外線で、これらの影響を受けやすい窓際などにLANケーブルを配置するとケーブルを覆った被膜が劣化し、放置すると内部までダメージが及びます。
ケーブル被膜の色褪せなどの劣化の前兆を感じた場合は、外的環境の影響を受けにくい場所に移動しましょう。また、室内が高温多湿にならないように、空調を使ったり、風通しをよくしたりすることも大切です。
3.内部に水が入り込むことによる浸水
「飲み物をこぼす」「雨に濡れる」などの影響でLANケーブルが水分に触れると、内部に水が入り込み、腐食やショートなどのトラブルを引き起こすことがあります。
ケーブルの被膜に少し水分が触れるといった程度であれば問題ありませんが、コネクタ部分が浸水してしまうと、トラブルの可能性が高くなります。
コネクタが濡れた状態のまま利用すると、デバイスやルーターにもダメージが及ぶため、浸水したLANケーブルは廃棄した方がよいでしょう。
4.頻繁に抜き差しをしている
LANケーブルの中でも特にダメージを受けやすいのがコネクタ部分です。頻繁にコネクタを抜き差ししていると、爪の部分が破損したり、内線がダメージを受けたりしやすくなります。
また、「ケーブルを引っ張って無理にコネクタを挿す」「ケーブルをねじるなど、コネクタに負荷がかかる状態で使用している」といった使い方も注意が必要です。
コネクタへの負荷を減らすためにも、「抜き差しは最小限に抑える」「コネクタに負荷を与えるような挿し方をしない」など、使い方を見直してみましょう。
劣化の症状と交換時期の目安
LANケーブルが劣化すると、以下のような症状が発生します。
- コネクタの爪の摩耗や破損
- ケーブル被膜の亀裂・変色・カビ
- 線の露出や断線
このような経年劣化が見られたうえで、「速度が以前より遅くなった」「回線が途切れやすくなった」といった通信トラブルが発生している場合は、LANケーブルが故障してしまっている可能性が高いです。
法定耐用年数に至っていなくても寿命を迎えている可能性があるため、LANケーブルの買い替えを検討しましょう。
「まだ大丈夫だろう」とそのまま使い続ける方もいるかもしれませんが、コネクタの接続不良によって火花が発生する可能性があります。発火事故といった最悪のケースにつながる可能性もあるため、劣化の症状が見られた場合は使用を中止し、新しいLANケーブルに買い替えましょう。
LANケーブルの選び方

新しいLANケーブルを購入する際の選び方を紹介します。以下のポイントに注意して選んでみてください。
通信規格を確認する
LANケーブル選びで最も重要なのは「通信規格(カテゴリ)」です。カテゴリは「CAT5・6・7」などの数字で表され、数値が高いほど通信速度や伝送帯域が向上します。たとえば、CAT5は最大100Mbps、CAT6は最大1Gbps、CAT7は10Gbpsに対応しています。
ただし、ケーブルの性能が高くても、接続する機器やインターネット回線の速度が対応していなければ、その性能を活かすことはできません。利用している回線や機器の最大速度に合わせてケーブルのカテゴリを選ぶことが重要です。ケーブルのカテゴリを確認するときは、以下の表を参考にしてみてください。
【主なLANケーブルカテゴリの比較】
カテゴリ | 最大通信速度 | 最大伝送帯域 |
---|---|---|
CAT5 | 100Mbps | 100MHz |
CAT5e | 1Gbps | 100MHz |
CAT6 | 1Gbps | 250MHz |
CAT6A | 10Gbps | 500MHz |
CAT7 | 10Gbps | 600MHz |
CAT8 | 40Gbps | 2000MHz |
一般的な家庭用途ではCAT6程度で十分ですが、より高速な通信が必要な場合はCAT6AやCAT7を選ぶとよいでしょう
形状や長さを確認する
LANケーブルの形状には「通常(丸型)ケーブル」「スリムケーブル」「フラットケーブル」などの形状があります。それぞれの特徴について紹介します。
特徴 | 用途 | |
---|---|---|
通常(丸型)ケーブル | ・ケーブルが丸い形状 ・厚みがあり取り回しがしにくい ・ノイズ(電波干渉)を受けにくい | ノイズの影響を受けにくいため、長距離配線に適している |
スリムケーブル | ・通常ケーブルを細くした形状 ・柔軟性が高い ・ノイズ(電波干渉)に弱い | ケーブルの柔軟性が高いため、曲げる配線が必要なシーンで有効 |
フラットケーブル | ・ケーブルが平らで厚みがない ・狭い場所に通しやすい ・ノイズ(電波干渉)に弱い | 床に這わせる、または家具の裏などの狭い場所を配線するときに有効 |
配線スペースや設置場所に応じて適切な形状があるため、用途に合わせて選んでみてください。
また、形状だけでなく、ケーブルの長さも重要です。自宅で使う場合、長すぎるケーブルは配線が複雑になりトラブルの原因になるため、長すぎるタイプはおすすめできません。
とはいえ、短すぎるタイプを選ぶと、機器と接続するときにケーブルに負荷がかかり、劣化の原因になってしまいます。事前にメジャーなどでおおよその長さを測っておき、少し余裕を持たせて長さを選ぶようにしましょう。
ケーブルの構造もチェックする
通信規格と形状・長さを押さえておけば、問題ありませんが、より細かく確認したいときはケーブルの構造もチェックしましょう。
【ケーブルの構造】
LANケーブルには「単線」と「より線」があります。
特徴 | 用途 | |
---|---|---|
単線 | ・ひとつひとつの芯が1本の太い銅線で構成されている ・回線が安定しやすい ・ケーブルが固いため、取り回しはしづらい | 取り回しのしやすさより、通信の速度や安定を求めるシーンで有効。 長距離配線に適している |
より線 | ・ひとつひとつの芯が7本の銅線で構成されている ・単線に比べると回線は不安定 ・ケーブルが柔らかいため、取り回しがしやすい | ケーブルを曲げて配線したり、狭いところに通したりするシーンで有効。 短距離配線に適している |
単線・より線それぞれにメリット・デメリットがあるため、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
【コネクタの構造】
ポートと接続するコネクタには、「ストレートケーブル」と「クロスケーブル」があります。
特徴 | 用途 | |
---|---|---|
ストレートケーブル | ・コネクタ部分の銅線がまっすぐ伸びている | パソコンと周辺機器を接続するのに適した構造 |
クロスケーブル | ・コネクタ部分の銅線が交差して伸びている | パソコンとパソコンを接続するのに適した構造 |
コネクタの構造は、接続する機器に合わせてストレートかクロスかを選択するのが一般的でしたが、現在は各機器に使用中のLANケーブルの「自動判別機能(AutoMDI/MDI-X)」が搭載されているモデルが多くなっています。
自動判別機能を搭載したハブやルーターであれば、LANケーブルを使い分ける必要はなく、すべてストレートケーブルで統一できます。利用中の機器を確認し、自動判別機能が搭載されている場合は、ストレートケーブルを選ぶとよいでしょう。
まとめ
紹介した内容のほか、ADSLの時代に使用していたLANケーブルをそのまま使い続けている方は、交換を検討してもよいでしょう。古いLANケーブルは現代主流になっている光回線に適していないため、通信速度が低速になっている可能性があります。Cat6(カテゴリ6)以降のLANケーブルに交換することで通信がより快適になるので、ぜひ試してみてください。
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