文書作成ソフトの「ワード(Word)」には、「上書きモード」という機能が備わっています。上書きモード自体は便利な機能ですが、ワードを使用している最中にいつの間にか上書きモードに切り替わってしまい、「元の入力モードに戻せなくて困った」という経験をしたことのある人も多いでしょう。
実は、ワードの入力モードはワンタッチで切り替えできるため、自分でも気づかないうちに上書きモードに変更してしまっているケースが多いのです。
そこで、本記事ではワードの上書きモードを切り替える方法や、上書きモードになってしまうのを防ぐ方法を解説します。
ライター:CLIP編集部
ワードの入力モードは2種類!
ワードの入力モードには、「挿入モード」と「上書きモード」の2種類があります。
挿入モード
ワードの初期設定では、入力モードは「挿入モード」の状態です。
挿入モードでは、もともと入力しているテキストが削除されることなく、文字の間に新しいテキストが挿入されます。具体的には、文字と文字の間にカーソルを置いてから新しいテキストを入力すると、カーソルから後ろのテキストが後退する仕様です。
上書きモード
「上書きモード」では、文字を入力すると、カーソルより後ろのテキストに上書きされながら入力されます。もともと入力しているテキストを、新しいテキストに書き換えたい場合に便利な機能です。
かつてワープロ専用機やタイプライターの時代は、挿入モードではなく上書きモードがデフォルトでした。
「上書きモード」になってしまう原因
ワードを使用中に突然入力モードが切り替わってしまった場合は、誤って入力モードを切り替えるキーを押してしまっているケースが多いでしょう。
【Insert】または【Ins】キーを押すと、入力モードが「挿入モード」から「上書きモード」に変更されます。「Insert」は「挿入」「差し込む」という意味を持ち、もともとは挿入モードに切り替えるためのキーですが、現在は挿入モードが標準設定のため、上書きモードに切り替わります。
文字入力のモードをワンタッチで切り替えられる便利なキーですが、【Insert】キーは【Delete】キーや【BackSpace(BS)】キーの近くに配置されていることが多いため、ミスタッチしてしまう場合が多いものです。
ワードの上書きモードを挿入モードに直す方法
ワードの入力モードが意図せず上書きモードになってしまった場合は、以下の方法を試してみましょう。
【Insert】キーを押す
上記のとおり、【Insert】キーはキーボードの【Delete】や【BackSpace】キーの近くにある特殊キーの1つです。【Insert】キーを誤って押してしまった場合は、再度押せば挿入モードに戻すことができます。
【Insert】キーは、デスクトップパソコンの標準的な109キーボード(日本語)や101キーボード(英語)の場合、【BackSpace】キーと隙間を挟んで右隣にある6つの特殊キーの中の左上に配置されています。
一方、ノートパソコンでは、【Fn(ファンクション)】キーの右隣や【BackSpace】キーの上など、【PrintScreen】キーと同じキー(【Fn】キーなどで切り替える)として配置されることが多いでしょう。
なお、メーカーによっては特殊な配置になるケースもあります。例えば、ヒューレット・パッカードの一部ノートパソコンでは、【Fn】キーと【E】の同時押しで【Insert】キーと同じ操作を実行可能です。
【Insert】キーを押しても直らない場合
【Insert】キーを押しても入力モードが切り替わらない場合は、ワードで【Insert】キーが無効になっている可能性があります。以下の手順で設定を有効にしてから、再度【Insert】キーを押してみましょう。
- 「ファイル」タブをクリック
- 「その他」から「オプション」をクリック
- ダイアログボックスの「詳細設定」をクリック
- 「編集オプション」の「上書き入力モードの切り替えにInsキーを使用する」にチェックを入れる
- 「OK」をクリック
【Insert】キーが見当たらない場合
キーボードに【Insert】キーが見当たらない場合は、スクリーンキーボードからの入力が可能です。スクリーンキーボードでは、画面上に表示されたキーボードをマウスでクリックすることにより、物理的なキーボードを使用せずにタイピングができます。
なお、スクリーンキーボードはWindowsの呼び名であり、Macの場合はアクセシビリティキーボードという呼び名です。スクリーンキーボード(アクセシビリティキーボード)を使用する場合は、それぞれ以下の手順で操作します。
【Windows 10の場合】
- 「スタート」から「設定」を選択
- 「簡単操作」→「キーボード」の順に選択し、「オンスクリーン キーボードを使用する」でトグルをオンにする
- スクリーンキーボードが表示される
【Windows 11の場合】
- 「スタート」から「アクセシビリティ」を選択
- 「キーボード」→「設定」の順に選択し、「オンスクリーン キーボード」トグルをオンにする
- スクリーンキーボードが表示される
【Macの場合】
- アップルメニューから「システム設定」を選択
- サイドバーで「アクセシビリティ」をクリック
- 右側の「キーボード」をクリックしてから、「アクセシビリティキーボード」をオンにする(スクロールが必要な場合もあります)
- アクセシビリティキーボードが表示される
現在の入力モード設定をワード上で確認するには?
現在のワードの入力モードは、以下の手順で確認できます。
- ワードの画面下にあるステータス バーを右クリックする
- 「ステータス バーのユーザー設定」から「上書き入力」にチェックを入れる
- ステータス バーに「入力モード」が表示される
- 「入力モード」をクリックすることで、「上書きモード」と「挿入モード」のモード切り替えもできる
ワードで【Insert】キーを無効化する方法
ワードで【Insert】キーを無効化させる方法はいくつかありますが、ここではより手軽な方法をご紹介します。
なお、【Insert】キーを無効にしても、ステータスバーから「上書きモード」へ切り替えることは可能です。
「詳細設定」からの設定変更手順
- 「ファイル」タブをクリック
- 「その他」から「オプション」をクリック
- ダイアログボックスの「詳細設定」をクリック
- 「編集オプション」の「上書き入力モードの切り替えにInsキーを使用する」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
上書きモードの活用方法
上書きモードは挿入モードと比べて使用する機会が少なく、「なくても困らない」と考える方も多いでしょう。
しかし、そんな上書きモードも、以下のようなシーンでは便利に活用できます。
限られた文字数を差し替えたい場合
上書きモードは、文字数が限られた文章を差し替えたい場合に便利です。
例えば、郵便番号や電話番号など文字数が決められているものを差し替える場合や、特定の文字だけを修正・差し替えたい場合に適しています。
【Backspace】や【Delete】などで記入済みの文字を消す手間を省略できる
上書きモードを使用すれば、削除する予定の文字列の上から、新しい文字列を記入できます。
【Backspace】や【Delete】などで記入済みの文字を消す手間を省けるので、作業効率をアップできるでしょう。
まとめ
ワードが上書きモードに変更されてしまうのは、【Insert】キーの押し間違いが原因のケースが多いでしょう。頻繁に上書きモードになってしまう場合は、【Insert】キーの無効化をおすすめします。
「いつの間にか切り替わって面倒くさい」と思われがちな上書きモードですが、適切に活用すれば作業効率をアップできます。必要に応じて入力モードを切り替え、文章を効率的に作成しましょう。
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