Wikipediaとは?その歴史と注意点を解説

分からないことをGoogleなどの検索エンジンで調べたとき、検索結果のトップによく表示されるWikipedia。
「インターネット百科事典」として非常に便利なWikipedia。世界中のボランティアにより作成・編集された専門的なページも多いのですが、誰でも編集できる特性から一次情報として信頼するには注意が必要です。無料で使えるWikipedia はどう作られ、どう利用するのが良いか解説します。

ライター:CLIP編集部/株式会社TOGL

Wikipediaとは?世界で利用されるインターネット百科事典

Wikipedia(ウィキペディア)は2001年、ジミー・ウェールズとラリー・サンガーらによって設立されたインターネット百科事典です。

「Wikipedia」の名前の由来は、編集システム「Wiki(ウィキ)」を利用した「百科事典=Encyclopedia(エンサイクロペディア)」から。

2022年1月時点で325の言語でWikipediaのページが作られており、総記事数は約6000万記事と膨大です。

Wikipedia が無料で誰でも利用できる理由

Wikipedia は無料で誰でも利用できます。Wikipediaを運営する「ウィキメディア財団」は寄付によって活動を続けています(ときどきWikipedia のページを覗くと寄付を促す大きなポップアップが出てくることがあります)。

Wikipedia の大本にはMIT(マサチューセッツ工科大学)の伝説的ハッカー、リチャード・ストールマンやオープンソースOS「Linux」の開発者リーナス・トーバルズに連なる「フリー(自由、無料)」の考えがあります。Wikipedia はすべての人が知的資源にアクセスできることを目指しています。またWikipediaや姉妹プロジェクトにある記事や画像は条件を守れば誰でも自由に二次利用できます。

Wikipediaの前身プロジェクト「Nupedia(ヌーペディア)」とは?

Wikipediaの前身に「Nupedia(ヌーペディア)」というプロジェクトがありました。Wikipediaの創設者ジミー・ウェールズと運営企業「ボミス」によって2000年に立ち上げられたインターネット百科事典です。

Wikipediaと違い、Nupediaは専門家による記事の作成と厳格なチェックを必要とし、また営利目的でスタートしていました。当時学生だったラリー・サンガーも哲学のコミュニティを通じてウェールズと知り合い、編集主幹としてかかわりました。
記事の監修に時間がかかりNupediaは1年で12記事のみしか増えませんでした。

「Wiki」とは?WikipediaとWikiの違い

ウェールズとランガーは「ウィキウィキウェブ」の存在を知るや、不振に悩んでいたNupediaの起爆剤として利用できないかと考えました。
「ウィキウィキウェブ」はウォード・カニンガムが開発した編集システム「Wiki」でつくられたWebサイトでした。「wiki」とはハワイ語で「速い」という意味。Wikiが斬新だったのは、Webサイトの管理者以外の誰でも文章の作成や編集ができる点でした。
Wikiはゲームの攻略サイトや匿名掲示板など不特定多数が情報を持ち寄るWebサイトや、会社内での情報共有ツールとしても利用されています。最も代表的で大規模な例がWikipediaです。

匿名でもWikipedia編集者になれる?

Wikiの導入によりNupediaはWikipediaとして発展し、世界中から膨大なアクセスを集めるサイトに成長しました。 WikipediaはWikiにより誰でも編集できる百科事典です。
匿名でも項目の作成や編集を行えますが、IPアドレスが表示されてしまうため編集を行いたい場合はアカウント登録をすると良いでしょう。

アカウント登録した場合は「新しく登録してから経った日数」や「編集した回数」によって、区分・権限が変わります。登録にあたって資格の提示などは必要無いため編集に参加するハードルは低いといえます。

Wikipediaの利用方法をおさらい。調べ物から二次利用まで

利用方法

Wikipedia内で調べ物をする際は、Wikipediaにアクセスし右上にある「Wikipedia内を検索」欄に調べたい言葉を入れて検索しましょう。
Wikipediaは1つの項目に対し1ページというルールがありますが、ページ内には関連項目として文中に別の項目(ページ)へのリンクが多くあるのも特徴です。検索したい言葉が分からない場合も、思いつく言葉から検索してみてリンクをたどっていけば見つかるかもしれません。

二次利用について。クリエイティブ・コモンズとは

クリエイティブ・コモンズとは、著作者が作品を自由に使って構わない場合の意思表示に関する国際ルール。
Wikipediaをはじめとしたウィキメディア財団で運営されているプロジェクトはクリエイティブ・コモンズによって再利用を許可されている場合がほとんどです。
Wikipedia内の文章や画像を再利用する場合はルールをよく読み、著作権違反にならないよう注意しましょう。

ウィキメディア・コモンズについて

ウィキメディア・コモンズとは、画像や音声、動画などを収集するプロジェクト。
無料で誰でも使えることを目的としており、ルールに従えば誰でも写真や作品をアップロードできます。ウィキメディア・コモンズにあるデータも、Wikipediaと同じく自由に二次利用が可能です。

Wikipedia は調べ物以外に読み物としての楽しみ方も

調べ物に便利なWikipediaですが、読み物としても楽しめる記事カテゴリーも。
この項では選りすぐりの良質記事「秀逸な記事」と、他では見られないようなユニークな記事「珍項目」についてご紹介します。

厳しいチェックを経て選出された「秀逸な記事」

秀逸な記事」は質・量・書式に問題がない記事だけが選出されるカテゴリーで、日本語版ではベージ総数約130万記事に対して91本のみ(2022年1月現在)。厳しいチェックを経て選ばれた記事はどれも読み応えがあります。
あと少しで「秀逸な記事」になりそうな項目は「良質な記事」というカテゴリーにまとめられており、こちらにも質が高い記事が揃っています。

ユーモア溢れる「珍項目」

思わず「何これ?」と言いたくなってしまう、ユーモアある記事が読みたい方は「珍項目」をおすすめします。
毎年焼かれてしまうヤギのクリスマス飾りや、Googleマップにしか存在しない街など、堅いイメージのある百科事典とは思えないような記事が319本選ばれています。中には「秀逸な記事」や「良質な記事」を兼ねている項目も。
ふざけた文体で笑わすのではなく、あくまでWikipediaのルールに則ったユーモア溢れる記事たちは必見です。

Wikipedia の記事を一次情報として信用しすぎない。信憑性には注意が必要

信憑性

Wikipediaでは誰でも編集ができるからこそ、利用には注意が必要です。
一般的な百科事典では各項目に専門家のチェックが入りますが、間違いがあった場合Wikipediaでは利用者たち自身で書き直すしか方法がありません。
知識のある人が編集に関わるケースもありますが、そうでない記事も多く存在するのが現状です。
記事の信憑(ぴょう)性を確かめるためには、出典や参考文献に注目しましょう。
きちんとした出典や参考文献が多い場合は記事自体の信憑性がやや高いといえます。
Wikipedia 記事内に[要出典]の表示が多い場合は注意が必要です。信憑性が低いとは限りませんが編集者の自論であったり根拠のない説明の場合があります。

卒業論文やレポートでの引用は非推奨とWikipedia内の「Wikipedia 」の記事でも書かれており、引用など二次利用する場合は気をつけましょう。
全ての記事が信憑性に欠けるわけではないので、別サイトや関連書籍など別のリソースをあたるなど、1つの情報を鵜呑みにしない姿勢が大切といえます。

・関連記事:ネットリテラシーとは?しっかり考えてネットを使わないと危険

まとめ

調べ物や読み物としても楽しめるWikipedia。
良質で学びのある項目も多く存在しますが、誰でも編集できる特性から信憑性に欠ける項目が多いのも現状です。
ご自身で二次利用する場合や、調べ物をする際は注意して利用しましょう。


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