世界中で高い評価を集め、安定したシェアを誇るAmazonのクラウドサービス「AWS」。今回は「AWS」とは何か、初めて聞いたという方にも分かりやすくその特徴を解説します。
ライター:CLIP編集部
AWSとは
AWSとはAmazon Web Servicesの略称で、Amazonが提供しているクラウドサービスの総称。元々Amazonが自社のサービスを提供するために構築したシステムをベースとして開発され、2006年に公開されました。AWSではサーバーやデータベース、ストレージなど、さまざまなサービスがクラウド上で提供されているので、ユーザーは必要なサービスを個別に利用できます。
アメリカSynergy Research Groupの調査によると、企業や個人に対してオープンに開放されているクラウドサービス、パブリッククラウドのシェアはAWS(Amazon)、Azure(Microsoft)、Google Cloud Platform(Google)、Bluemix(IBM)の4つが、その大半を占めています。なかでもAWSはクラウドサービス黎明期から市場を牽引。急速な成長と普及を見せたMicrosoftのAzureを抑え、今も世界中の市場シェア1位を誇っています(2022年12月現在)。
AWSのメリット・デメリット
AWSのメリットとデメリットを、自社で物理サーバーを設置して運用する「オンプレミス」やVPS利用時と比較しながら紹介します。
メリット
セキュリティのレベルが高い
AWSのセキュリティは軍隊や国際展開している銀行、その他高い機密性が求められる組織のセキュリティ要件を満たすように非常に高いレベルで構築されています。クラウド環境のセキュリティを高次元でAWSが管理してくれれば、ユーザーの負担は大きく軽減されるでしょう。
コストが削減できる
自社に物理サーバーを設置し、運用するオンプレミスと呼ばれる方法でデータ管理を行う場合、運用までに大きな初期費用と時間を要します。しかし、AWSであれば物理サーバーを用意する必要がないため初期費用が抑えられるだけでなく、導入までに時間もかかりません。また月々の支払いは従量課金制となり、利用方法・利用状況に応じた月額料金を支払います。うまく利用すればオーバースペックなどによる無駄な支出も減らすことができます。
運用における柔軟性や拡張性が高い
オンプレミスでサーバー運用を行っていれば、機能の拡張にはハードウェアを追加する必要があります。また1台の物理サーバーの中に、複数の仮想サーバーを構築するVPSでの運用も、機能拡張や性能を上げるためには新規でサーバーをレンタルし、再設定を行う必要があることも。一方のAWSはその場ですぐにサーバースペックの増減が可能。拡張させるだけでなく、閑散期にはサーバースペックを落とすことで経費削減も行えます。
ハードウェアの管理が不要
オンプレミスによるサーバー運用では、ハードウェアのメンテナンスやアップデートは自ら行わなければならず、そのためには事前準備やアフターフォローが必要でした。しかし、AWSであればハードウェアの管理は全てAWS側が担当してくれます。
人的リソース不足の解消に繋がる
これまでオンプレミスでサーバー運用を行っていた企業が、運用サーバーをAWSに切り替えれば、今後のサーバー管理はAWSが担うことになり、そこに人員を割く必要がなくなります。
デメリット
利用料が見積もりにくい
クラウドサービスと同じように仮想化技術を用いるVPSは固定料金ですが、 AWSではドルベースの従量課金制が採用されています。無料枠も存在しますが、サービスを使用した分だけ毎月の利用料が変動します。そのため支払いの見通しを立てたい場合は、VPSや他の定額制クラウドサービスを利用するべきでしょう。
オンプレミスと比較すると自由度が低い
ユーザーはAWSでAmazonから提供されるサービスを利用します。そのため自社都合でカスタマイズが行えるオンプレミスと比較すると、自由度が低い場合があります。
またクラウドサービスの場合、メンテナンス時間も提供者側に依存するため、利用したい時間に使用できないこともあり得ます。
サーバーに障害が起きると、ダイレクトに影響を受ける
提供元にあたるAWSのサーバーに障害が起こると、利用者はその影響をダイレクトに受けてしまいます。
2019年には、日本のクラウド向けデータセンターである東京リージョンで冷却システムに障害が起こり、一部のサーバー温度が許容範囲を超えてしまう問題が発生。その結果、多くのキャッシュレスサービス、ゲーム、オンラインショッピングサイトなどが機能停止する事態に陥りました。
AWSはデータ障害に強いともいわれていますが、クラウドサービスの性質上このようなリスクが常に潜んでいるということは、理解しておく必要があります。
AWSの6つの主要サービスでできること
AWSは「AWS」という1つのサービスを利用して何かを行うのではなく、AWSの中にある1つないし複数のサービスを目的に応じて使うものです。
AWSの公式Webサイトでは、サービスを複数用いたAWS導入事例として、日本経済新聞社におけるビックデータ活用事例が紹介されていました。他にも用途に応じたさまざまな活用事例が取り上げられています。
ここからはAWSで利用可能な6つの主要サービスを紹介します。
バックアップにおすすめの「Amazon Simple Storage Servise(S3)」
データの保管やバックアップには「Amazon Simple Storage Servise(S3)」がおすすめ。
このサービスを利用して1TBのデータを保管した時の費用は、1カ月約3,000円。サービス内にもさまざまなプランが用意されているので、利用方法によってはさらに費用が抑えられるかもしれません。
プログラムの自動処理が可能な「AWS Lambda」
「AWS Lambda」は、あらかじめプログラムをAWSに登録しておくことで、自動的に処理を走らせることができるサービスです。ジョブを実行する場合はサーバーが必須ですがAWS Lambdaであれば物理サーバー要らずで、自動バックアップ処理や他サービスとの連携処理を実行することが可能。
例えばAmazon S3に連携させておけば、ストレージサービスにデータをアップロードしたり、SNSが更新されたりすることで、自動的にデータ処理や分析などを行うことができます。
「AWS Command Line Interface(AWS CLI)」で AWSのサービスを総合管理
AWSのサービスを管理するための統合ツールが、「AWS Command Line Interface(AWS CLI)」です。コマンドラインから200以上あるAWSのサービスを複数制御し、スクリプトを用いてこれらが行う作業を自動化ができます。
また、コマンドは「aws (サービス名) (実行処理)」というような順序で、初心者にもわかりやすいのも魅力のひとつ。
AWSに利用サービスを統合し、AWS CLIでそれらを制御すれば、使い勝手はさらに良くなるでしょう。このサービスはAWSを最大限に活用する上で必須のツールかもしれません。
「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」で仮想サーバーを構築
「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」はAWSが提供する仮想レンタルサーバーを運用できるサービスです。
WindowsやLinuxをはじめとしたOS、Core数やメモリ容量、サーバーにアクセスするためのポートを設定するセキュリティグループなど、サーバーの構築時に幅広くカスタマイズできるのが大きな特徴。構築に要する時間も短く、早ければ5分程度でサーバー構築が完了します。
ドメイン管理に便利な「Amazon Route 53」
AWSのクラウド内で使用するドメインを一元管理する「Amazon Route 53」を利用すれば、新しいドメインの購入や所有ドメインの維持管理、Webサーバーなどのリソースに対するヘルスチェックなどが可能になります。
「AWS Amplify」でオリジナルアプリを開発
「AWS Amplify」とは、モバイルアプリケーションやウェブアプリケーションを構築、出荷、デプロイを可能とする開発プラットフォームです。AWSのさまざまなサービスを利用し、クラウドサービス上で安全かつ簡単にアプリケーションの開発が可能。
サーバーやミドルウェアの運用など、他との差別化に繋がらない作業をAWSに任せ、構築するための工数を軽減でき、本質的な作業に集中できることがメリットです。
まとめ
セキュリティ性能が高く、サービスの種類が豊富なことから世界中で高い評価を得ているAWS。現在クラウドサービスの活用を検討されている方は、候補のひとつに入れてみてはいかがでしょう。
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