プログラミングなのにやたらかわいいScratch3.0で子供と遊ぼう

テキスト:堀越英美

MITメディアラボが無償で提供している子供向けプログラミング言語学習環境「Scratch」の最新バージョン「Scratch3.0」が、2019年1月2日にリリースされました。前バージョンとの一番大きな違いはFlashではなく、HTML5で動作するようになったこと。今まではScratchでプログラミングをするにはパソコンが必要だったのですが、今後はタブレット端末でも操作できるのです。これにより、Scratchユーザーは爆発的に増えるのでは?とみられています。

上記はもちろん重要な改変なのですが、おそらく元からのユーザー(特に子供)にとって、見た目に一番分かりやすい違いは「めっちゃかわいくなってる!!!」ということではないでしょうか。というのも、これまでScratchに用意されていた画像というと、以下のようなミラーボールに恋するU.S.A.ノリが主流だったからです。

U.S.A.ノリ

これはこれでドリームの見方をInspiredされそうで悪くはなかったのですが、Scratch3.0では背景やスプライトにかわいい画像が増えています。

かわいい画像

このほかにも、車いすバスケ選手や女子野球選手、アフロアメリカンなプリンセス・人魚、ケンタウロス(半人半獣)など多様性を意識したスプライトが多数追加されています。よく見ると肌の色や髪の毛の色も多種多様です。ぼくらは地球人、同じ星(ふね)の旅人さ……。

車いすバスケ選手や女子野球選手、アフロアメリカンなプリンセス・人魚、ケンタウロス(半人半獣)など

数年来のScratchユーザーである長女(小学5年生)はかわいい画像が増えたことに大喜び。さきほどのハリネズミのスプライトと背景を使い、「なでればなでるほどハリネズミは喜ぶがプレイヤーのHPは低下する」ハリネズミ育成ゲームを作りはじめました。ハリネズミのジレンマだ。

次女(小学1年生・支援級在級)はまだScratchができないので、お母さんが次女用の作品を作ってみようと思います。次女は絵本「こねこのぴっち」に出てくる「ぴっち」という黒猫が大好き。ぴっち似の黒猫が教えれば、苦手な「繰り上がりの足し算」もマスターできるのでは? さすがに既存のスプライトにはないので、スプライト新規作成画面でぴっちに似せた猫をエンヤコラと描きます。

猫を描く

コード(Scratch3.0から「スクリプト」ではなく「コード」と呼ばれるようになりました)はこんな感じです。

コード(Scratch3.0から「スクリプト」ではなく「コード」と呼ばれるようになりました)はこんな感じ

簡単ですね。ちなみにプログラミング環境を与えられたら足し算ゲームを作ってしまうのは、『こんにちはマイコン』(すがやみつる)世代の宿命です。
これは答えが10~19になる足し算を10問出題するコードなので、正確には繰り上がりの足し算だけではなく「13+3」「17+2」といった問題も出てきます。繰り上がり足し算だけを出題する方法も考えてみたのですが、頭がこんがらがってきたのでやめました…・。5~9の乱数同士を足し算するプログラムだと「3+8」が出題されないし。解決策があったら教えてください。

5+9+はいくつニャ?

お勉強くささを消すため、新たに追加されたかわいいお部屋の背景を使い、親しみやすさを全面に押し出します。母の欲望通り、ふだんぴっちのぬいぐるみと会話している次女は喜んで足し算に取り組んでいました。
もちろん足し算アプリなんてあちこちにあるのですが、キャラやデザイン、セリフ、出題レベルを自由にいじれるのがScratchの楽しいところです。ハンドメイドで既製品の完成度と安さを超えるのは技術力がないと難しいですが、プログラミングなら親のぬくもりを手軽に伝えられますね。

さて、これだけだと「デザインがかわいくなったんだね!!!」で終わってしまうので、Scratch3.0で追加された音声合成機能を使ってみます。左下の「拡張機能を追加」ボタンをクリックし、「音声合成」を選択。これで「Text to Speech」のブロックが3つ追加されます。

「Text to Speech」のブロック

では、先ほどのコードでは吹き出しで表示させていたセリフを、合成音声で実際に再生させます。「たしざんの問題をだすニャー」という見た目ブロックを「Text to Speech」ブロックに置き換えます。日本語音声なので、「言語をJapaneseにする」ブロックを前に置きます。

「言語をJapaneseにする」ブロックを前に置く

ここを改変するだけで、合成音声で「たしざんの問題をだすニャー」としゃべってくれます。YouTubeで実況動画をよく見ているお子さんなら、「ゆっくり実況」などの音声合成実況ごっこをやりたくなるのではないでしょうか。これまで長女は「ゆっくり実況」をScratchで再現するためにわざわざ音声合成ソフトで音声ファイルを作成し、ファイルを貼り付けていたのですが、もうそんなめんどうなことはしなくて済むのです。そんなことをしていたのはうちの子だけかもしれませんが……(なお、長女曰くScratchのデフォルトの音声はゆっくり実況よりボーカロイドの「結月ゆかり」に似ているそうです)。Scratch3.0日本版がローンチしてすぐに、『吾輩は猫である』のテキストを猫のキャラクターにしゃべらせている作品も見つけました。青空文庫で全文公開されているテキストを使えば、いろいろな作品で同じことができそうですね。私はでんしんばしらの軍隊が宮沢賢治「月夜のでんしんばしら」の軍歌を朗読しながら少しずつ移動するアニメを作ってみました。伝わるかどうか不安ですが、超楽しい。

もう一つの拡張機能「翻訳」を追加すると、日本語を英語に翻訳して話してくれます。

まだ英語で消耗してるの?

さっそく新スプライトのタコを使って、翻訳するタコを作ってみました。これはGIFアニメなので音声は出ませんが、Scratch上ではちゃんと英語音声が再生されています。これはすごい……。タコのくせに……。

コードはこの通りです。コードってほどのものでもないですね。

コード

Google翻訳機能を利用しているので、英語以外にもさまざまな言語に対応しています。
このほか、野菜や果物などをキーボード代わりにすることができるMakey Makeyをつなげて遊んだりもしたのですが(子供たちバカ受け!)、長くなりすぎてしまったのでこの辺で。ぜひみなさんも遊んでみてください。ボタンを押したらおならの音がでるだけのプロジェクトでも大丈夫! Scratchならどんなに下品でテキトーな作品でもプログラミングとして受け止めてくれます。

©Scratch Foundation
ScratchのWebサイトに記載のクリエイティブ・コモンズライセンス「表示 – 継承 2.0 一般 (CC BY-SA 2.0)」に基づき、画像を掲載しております。
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0/deed.ja
https://scratch.mit.edu/info/faq

“Scratch is a project of the Scratch Foundation, in collaboration with the Lifelong Kindergarten Group at the MIT Media Lab. It is available for free at https://scratch.mit.edu“.
(訳)ScratchはScratch財団と、MITメディアラボのライフロングキンダーガーテングループの共同プロジェクトで、無償で提供されています。https://scratch.mit.edu

[2019年01月15日 Zing!掲載]


※上記掲載の情報は、取材当時のものです。掲載日以降に内容が変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。