十分な専門知識がなくてもWebアプリやモバイルアプリ(ネイティブアプリ)などが作れるノーコードツール。目的に合ったサービスを選べば、安価かつ短期間でサービスを作ることも可能です。今回は、比較的簡単に使えるノーコードツールから、多少知識が必要ながら機能豊富なローコードツールまでおすすめの12サービスを目的別に紹介します。
ノーコードツールについて詳しく知りたい方は、ぜひ関連記事をご覧ください。
ライター:荒井啓仁
ノーコードツールの選び方
利用目的を決めておく
数多くあるノーコード(ローコード)ツール。機能や料金は多岐にわたります。ノーコードツールを選ぶ際に大切なのは利用目的やゴールをはっきりさせること。人気や見た目で選ぶのではなく、目的に合った機能が実装できるかしっかり確認することが大切です。
使いやすさも要チェック
ノーコードツールを選ぶ際は「使いやすさ」も大事なポイント。効率化に優れた便利なアプリを作っても、使いにくい部分があれば全体の作業効率は落ちてしまうでしょう。
プランと料金はしっかり確認
ノーコードツールはサービスによって料金体系もさまざま。運用に無理がないように、運用人数や開発アプリ数などを考え、最適なプランを選ぶことが大切です。
トラブル時のサポート体制も大切
トラブル発生時のサポート体制もノーコードツールを選ぶ際に注目したいポイントです。ノーコードツールは海外産のサービスも多く、日本語での問い合わせが可能か、問い合わせ方法は何があるか、などしっかりと確認しましょう。
ノーコードツールを選ぶ際の注意点
十分な専門知識がなくてもさまざまなアプリやツール、サービスを作れるノーコードツールですが、選ぶ際にはいくつか注意点があります。
全てを理想通りに実装するのは難しい
ノーコードツールは、十分な専門知識が不要な代わりに自由度が低い点には注意が必要です。「細部にこだわりたい」「理想を完全に実現したい」という場合は、ノーコードツール以外の選択肢も検討したほうがいいでしょう。
サービスの移行・引っ越しが難しい
開発途中や運用途中でサービスの移行が難しい点も気をつけたいポイントです。ノーコードツールは、データや設定のエクスポート(出力)が限られている場合がほとんど。そのため、もし開発途中や運用途中にサービスを変えたくなった場合は、一から作り直さないといけない場合もあるため、事前に利用するツールはしっかりと選定しましょう。
目的別おすすめノーコードツール 12選
ここからは、目的ごとにおすすめのノーコードツールを紹介します。
※本記事での料金等の情報は2024年10月時点のものです。
アプリ開発ができるノーコードツール
1.Kintone
「Kintone」は必要なパーツをドラッグ&ドロップするだけで業務アプリが簡単に作れるノーコードツールサービス。案件管理や受発注、交通費申請、日報など、主に社内向けの業務用アプリが作成可能です。
月額料金は1ユーザーあたり1,000円〜3,000円。プランによってチーム内でのコミュニケーションやアプリを集約する「スペース」の数やアプリの数が変動します。スタンダードコースなら30日間のお試し期間もあるため、使い勝手を試してみるのもおすすめです。ただしディスク容量が1人5GBまでと、大容量データを扱うのが苦手な点には注意が必要です。
ライトコース | スタンダードコース | ワイドコース | |
---|---|---|---|
月額料金(1ユーザーあたり) | 1,000円 | 1,800円 | 3,000円 |
最小契約ユーザー数 | 10ユーザー | 10ユーザー | 1,000ユーザー |
アプリ数上限 | 200個 | 1,000個 | 3,000個 |
スペース数上限 | 100個 | 500個 | 1,000個 |
部サービス連携・プラグイン・拡張機能 | × | ○ | ○ |
大規模利用向け機能 | × | × | ○ |
ディスク容量 | 5GB×ユーザー数 | 5GB×ユーザー数 | 5GB×ユーザー数 |
ゲストユーザー料金(月額/1ユーザー) | 700円 | 1,440円 | – |
ゲストスペース数 | 100個 | 500個 | – |
2.Yappli
「Yappli(ヤプリ)」はモバイルアプリの開発に特化したノーコードツール。多様な種類のアプリ制作が可能で、自治体のDXやレストランの経営アプリなどにも活用されています。Yappliもドロップ&ドラッグで直感的にアプリ開発が可能。楽天ポイントやTポイントなどポイントサービスとの連携ができるのも嬉しいポイント。サポートも手厚く、企画提案や設計、デザイン、アプリストアへの申請から運用、分析まで行ってくれます。料金は初期制作費用と月額費用を合わせた金額になっており、問い合わせが必要な点は注意しましょう。
公式サイト:https://yapp.li/
3.Glide
「Glide(グライド)」もドラッグ&ドロップの直感的な操作でモバイルアプリの開発が行えるノーコードツール。GoogleスプレッドシートやExcelなどの表計算ソフトをデータベースとして利用でき、Glideの既存のデータベースを活用した上でアプリ開発が行えます。カスタマイズ可能なテンプレートが豊富に用意されているため、好みのテンプレートを利用して、手早くアプリを開発可能です。日本語には対応していないため、英語が不慣れな場合、翻訳の手間が発生する点には注意しましょう。
Free | Maker | Team | Business | |
---|---|---|---|---|
月額料金 | $0 | $49 | $99 | $249 |
アプリユーザー数 | 10人 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
データ更新数 | 0 | 500 | 5,000 | 10,000 |
編集者 | 2人まで | 2人まで | 5人まで | 10人まで |
開発可能アプリ数 | 1 | 1 | 無制限 | 無制限 |
公式サポート | × | ◯ | ◯ | ◯(優先) |
Webシステム・アプリなど万能なノーコードツール
4.Bubble
「Bubble(バブル)」はドラッグ&ドロップ操作で直感的にWebシステムやモバイル向けのアプリ制作ができるツール。難易度は高めですが、自由度が高く会員制サイトやECアプリ等かなり幅広いアプリが作成可能です。有志によるハウツーが充実していますが、日本語に対応しておらず料金もドルで支払う必要があります。サポートも日本語では受けつけていないため、利用にはさまざまな知識が必要なツールといえるでしょう。
公式サイト:https://bubble.io/
Free | Starter | Growth | Team | |
---|---|---|---|---|
月額料金 | $0 | $29 | $119 | $349 |
複数人での開発 | × | × | 2人まで | 5人まで |
独自ドメイン | × | ◯ | ◯ | ◯ |
バックアップ期間 | 6時間 | 2日間 | 14日間 | 20日間 |
5.Click
「Click(クリック)」はLINEとの連携やチャット機能、プッシュ通知機能など、多機能なモバイルアプリやWebアプリの開発ができます。直感的な操作はできないものの、チュートリアルが充実しているため初心者でも安心です。メッセージ機能やライブ配信機能など、接続規模が大きくなるサービスにも対応しています。iOS/Android両方でコードを書き換える必要がなく、簡単に公開できるのもうれしいポイント。日本語に完全対応した国産ツールかつ無料プランの用意もあるなど、始めやすい点もおすすめです。
公式サイト:https://click.dev/
Free | Standard | Pro | |
---|---|---|---|
月額料金(税込) | 0円 | 4,400円 | 19,600円 |
アカウントごとのアプリ数 | 2個 | 10個 | 100個 |
アプリごとのレコード数 | 10レコード | 1,000レコード | 25,000レコード |
アカウントごとの容量 | 10MB | 1GB | 20GB |
Zapier&外部API連携 | × | 50コール/アプリ | 無制限 |
アプリごとの招待メンバー | × | × | 10人 |
PWA | ◯ | ◯ | ◯ |
iOSアプリ | × | × | ◯ |
Androidアプリ | × | × | ◯ |
Push通知 | × | × | ◯ |
Googleアナリティクス | × | × | ◯ |
独自ドメイン | × | × | ◯ |
6.Adalo
「Adalo(アダロ)」はWebアプリとモバイルアプリの開発が可能なノーコードツールです。豊富なテンプレートとドラッグ&ドロップによる直感的な操作が可能です。PC・iOS・Androidと、複数のプラットフォーム向けのアプリを同時に作成できるのが特徴。PC向けのアプリ開発も行えますが、モバイルアプリ開発に向いています。公式サイト上では対応言語に日本語が表示されているものの、日本語入力にはコピペ対応が必要で、サポートやコミュニティは英語のみです。
公式サイト:https://ja.adalo.com/
無料 | スターター | プロフェッショナル | チーム | 事業内容 | |
---|---|---|---|---|---|
月額 | $0 | $36 | $52 | $160 | $200 |
ストアにリリースできるアプリ数 | × | 1個 | 2個 | 5個 | 10個 |
容量 | 200レコードのみ | 5GB/1チーム | 25GB/1チーム | 125GB/1チーム | 500GB/1チーム |
独自ドメイン | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
追加ユーザー | 1人 | 1人 | 5人 | 10人 | 無制限 |
Webサイト作成に強いノーコードツール
7.STUDIO
Webサイトが作れる国産のノーコードツールが「STUDIO(スタジオ)」。デザインエディターと呼ばれる画面で完成形を見ながら直感的にWebサイトを作れるのが特徴です。利用料金(無料プランを含む)にサーバー費用が含まれているため、面倒なサーバー契約などが不要な点も嬉しいポイント。複数人での編集にも対応していたり、テンプレートや写真素材も豊富にあったりして、簡単におしゃれなWebサイトが作れます。ただテンプレート以外のカスタマイズは難しいでしょう。
Free | Starter | CMS | Business | |
---|---|---|---|---|
月額料金(税込) | 0円 | 980円 | 2,480円 | 4.980円 |
月間PV上限 | 10,000PV | 50,000PV | 100,000PV | 1,000,000PV |
付与できるライター権限 | × | × | 3人まで | 無制限 |
フォーム機能 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
独自ドメイン | × | ◯ | ◯ | ◯ |
Webhook通知 | × | × | × | ◯ |
CMS公開アイテム数 | 100 | 10 | 2,000 | 10,000 |
8.Webflow
「Webflow(ウェブフロー)」は視覚的かつ直感的な操作が可能な編集画面が特徴的なノーコードWebサイト制作ツール。Webサイトのアニメーションもノーコードで実装でき、ECサイトの構築も可能です。セキュリティ機能やSEO対策の設定など、とにかく多機能なのが「Webflow」の特徴。ただ自由度が高い代わりに操作の習得に時間がかかる点、日本語には非対応な点には注意が必要です。料金プランも細かく分かれており、自分に必要なプランが分かりにくいのも難点かもしれません。
公式サイト:https://webflow.com/
【Siteプラン】 | STARTER | BASIC | CMS | BUSINESS |
---|---|---|---|---|
月額料金 | $0 | $14 | $23 | $39 |
カスタムドメイン | × | ◯ | ◯ | ◯ |
作成可能ページ数 | 2ページ | 150ページ | 150ページ | 300ページ |
CMSアイテム数 | 50個 | 0個 | 2000個 | 10000個 |
フォーム送信 | 50件まで | 500件まで | 1000件まで | 2500件まで |
編集権限付与 | × | × | 3人 | 10人 |
ECサイト制作に特化したノーコードツール
9.STORES
「STORES(ストアーズ)」はHTMLやCSSの知識がなくてもECサイトが開設できるツール。48種類の豊富な無料テンプレートをもとに、おしゃれなサイトが制作できます。Instagramなどの外部SNSとの連携も簡単に行え、リンクボタンも容易に設置可能。在庫管理の自動化や売上の分析など、ECサイト運用に必要な機能も一通りそろっています。
公式サイト:https://stores.jp/
フリープラン | ベーシックプラン | |
---|---|---|
月額料金 | 0円 | 2,980円 |
決済手数料 | 5.50% | 3.60% |
品番管理 | × | ◯ |
在庫数CSV一括更新 | × | ◯ |
代引き決済 | × | ◯ |
Amazon Pay | × | ◯ |
決算手段カスタマイズ | × | ◯ |
動画埋め込み | × | ◯ |
独自ドメイン | × | ◯ |
アクセス解析 | × | ◯ |
10.BASE
テンプレートを使い、簡単にECサイトを開設できる「BASE」。初期費用や月額費用0円でECサイトを運用できるのが最大の特徴です。22種類の無料テンプレートに加え、HTML編集機能や有料テーマもあるため、こだわりを反映しやすいツールといえるでしょう。有料プランとの違いは決済手数料のみと、固定費のかからないプランでも十分使えるツールです。公式サイトによれば、月商17万円を超える場合は有料プランへの加入がおすすめとのこと。
公式サイト:https://thebase.com/
スタンダードプラン | グロースプラン | |
---|---|---|
初期費用 | 0円 | 0円 |
月額費用 | 0円 | 16,580円 |
決済手数料+サービス利用料 | 3.6%+3% | 2.9%+0% |
業務効率改善に使えるノーコードツール
11.Google AppSheet
「Google AppSheet(アップシート)」は2021年Googleによって買収されたノーコードツール。さまざまなアプリが制作可能ですが、どちらかといえば業務管理アプリの開発に向いています。「Googleスプレッドシート」「Googleフォーム」などGoogleが提供するサービスとの連携も簡単で、AWS(Amazon Web Service)やSalesforceなど外部のデータベースとも連携も可能です。有料プランもありますが、月10人までの共有なら無料プランでも利用できます。ユーザー認証やセキュリティフィルタを使いたい場合は有料プランへ加入しましょう。
Starter | Core | Enterprise Plus | |
---|---|---|---|
月額料金/1ユーザー | $5 | $10 | $20 |
高度なアプリと自動化機能 | × | ◯ | ◯ |
セキュリティコントロール | × | ◯ | ◯ |
機械学習 | × | × | ◯ |
高度なデータ管理 | × | × | ◯ |
高度な認証 | × | × | ◯ |
12.Zapier
5000種類以上のアプリケーションやクラウドサービス、SNSと連携可能なノーコードツールが「Zapier(ザピアー)」。ワークフローの実行や履歴の管理を自動化で行うことが得意なツールです。メールに添付されたファイルをクラウドサービスに自動でアップロードしたり、カレンダーのスケジュールを社内SNSで通知したりと煩雑な日々のルーティン業務を自動化できます。公式サイトもツールもすべて英語な点には注意しましょう。
公式サイト:https://zapier.com/
Free | Profesional | Team | |
---|---|---|---|
月額料金 | $0 | $19.99〜 | $69〜 |
自動化のパターン数(Zap) | 5 | 20 | 無制限 |
月の実行タスク数(Task)上限 | 100 | 2,000 | 500,000 |
まとめ
十分な知識や技術がなくてもWebやモバイル用のアプリ開発を行えるノーコードツール(ローコードツール)。
気軽に利用できる反面、サービスの移行・引っ越しが難しいなどの気を付けるポイントもあるため、目的をしっかりと固め、その目的に合ったサービスを見極めることが大切です。
また複数人がアクセスするアプリの運用には、安定していて高速な回線が不可欠。お使いの回線に不安がある場合は、回線契約の見直しもおすすめです。
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