昨今はVRやメタバースなど違う観点でも注目を集めるゲーム。デジタルのゲームは時代とともに進化を遂げてきました。技術的に「できること」を元にした開発者の発想がゲームの形となり、それが消費者の「やりたいこと」とガッチリ合ったときにブームは生まれます。ではこれまでにどのようなゲームが世間を騒がせていたのか。懐かしの1970年代『スペースインベーダー』から現代の『Fortnite』まで、ブームを巻き起こした人気タイトルたちをご紹介します。
ライター:多根清史
【1970年代~】メガヒットのシューティング 懐かしの『スペースインベーダー』と電子ゲーム大流行
一世を風靡したレトロゲーム『スペースインベーダー』
日本において最初の大きなうねりを生み出したのは、『スペースインベーダー』(1978年)でしょう。当初はゲームセンターで稼働する業務用ゲームとして送り出されましたが、宇宙から整列して攻めてくるイカやタコのような侵略者、ピコピコした電子音、敵の数を減らすとスピードアップするスリルは多くの国民を熱狂させました。
当時はあちこちに「インベーダーハウス」(インベーダー専門店)が乱立したり、喫茶店はテーブル筐体に埋め尽くされたりしたものです。このゲームによって流れが変わり、それまでビデオゲームは「輸入もの」でしたが、海外に輸出されたり数々の家庭用ゲーム機にも展開されたり、「ゲームといえば日本」のイメージを確立しました。
数々の懐かしいタイトルを収録した「電子ゲーム」
その次は、持ち運びしやすい「電子ゲーム」です。インベーダーものも多数ありましたが、本格的にブームに火が点いたのは今や懐かしの「ゲーム&ウォッチ」(1980年~)シリーズがきっかけでしょう。
これは任天堂初の携帯ゲーム機ですが、1台につき1つのゲームしか遊べない「ゲーム機能入りの時計」といったところ。つい最近も『ゼルダの伝説』をモチーフにした“新作”が発売されていましたが、当時はあそこまでリッチではありませんでした。
もともと「サラリーマンが通勤途中に遊ぶもの」として想定されていましたが、ポケットに隠れる小ささは小中学生の心を鷲づかみに。お年玉や小遣いを貯めれば買える手軽さもあり、学校や塾で大流行していたものです(取り締まるところもありましたが)。
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【1980年代~】ファミリー層を開拓したプラットフォーム・ゲーム「ファミコン」
さて、「ファミコン」(1983年~)時代へ。
任天堂のレトロゲーム『マリオブラザーズ』など
任天堂は「ファミリー」を意識した作品の開発に並々ならぬ力を入れていました。
今も任天堂の最前線を走るレトロゲームシリーズ『マリオブラザーズ』(1983年)はマリオ&ルイージ兄弟が下水道でカメやカニ、ハエなどを退治していく2人プレイのアクションゲーム。ちなみに、初めて「マリオ」がタイトルに冠されたり、ルイージが初登場したりと重要タイトルだったりします。
しばらく間を置いて発売された『デビルワールド』(1984年)や『バルーンファイト』、『アイスクライマー』(どちらも1985年)も2人同時プレイです。さすがに2つのコントローラーを同梱しただけのことはありますが、これら任天堂製ソフトはすべて「互いに邪魔し合える」ことが共通しています。
たとえばマリオとルイージは床の下から互いを突き上げて敵に当てたり、気絶している敵が蹴られる瞬間に起こしてやったり、敵から逃げている兄弟の行く手を塞いだり……。ゲームスコア的に何もいいことはありませんが、すごく楽しい! 任天堂自らが「協力するか、それとも裏切るか」のキャッチフレーズを使っていて、ゲーマー心理をよく分かってました。
バンダイのレトロゲーム『キン肉マン マッスルタッグマッチ』など
その後にファミコンキッズ達を熱狂させたのが、バンダイ(当時)のレトロゲーム『キン肉マン マッスルタッグマッチ』(1985年)でしょう。それ以前にも『アーバンチャンピオン』など対戦できる格闘ゲームはありましたが、本作はおそらく初の「キャラクターの性能差がある」タイトルです。
キン肉マンやテリーマン、ブロッケンJr.など、8人の超人それぞれに「キック力が高い」や「足が速い(必殺技を使うための光の球を取るために有利)」「必殺技が相手をハメやすい」など性能差があり、お気に入りのキャラを使い込むうちに、戦い方や立ち回り、必殺技の思わぬ使い方が“開発”され、めまぐるしくキャラの格付けが変わっていく……。
そんな「プレイヤー自らがゲーム性を進化させていく」という点でも、本作はとても先進的でした。学校帰りの子どもたちが、誰かの家に集まるきっかけになったことは言うまでもありません。
【1980年代~】 パーティゲームを代表する『桃鉄』と『マリオパーティ』
「家庭用ゲーム機」の人気ジャンルといえば、「パーティゲーム」でしょう。サイコロを転がしてコマを進めるすごろく形式のボードゲームに、さまざまな味付けをしたものが主流。
レトロでもあり最新でもある『桃太郎電鉄』シリーズ
その中でも飛び抜けているのが、『桃太郎電鉄』シリーズです。『ドラクエ』風のRPG『桃太郎伝説』の開発スタッフが集まって作られたファミコン用『桃太郎電鉄』が元祖ですが、システムが続編とはかなり違っていました。事実上の原点となるのが、PCエンジン用の『スーパー桃太郎電鉄』(1989年)です。
第2作目では対戦の要素がかなり強められ、目的地は全員が共通となり(前作ではバラバラ)借金という概念や対戦相手を攻撃できる(自分に不幸もある)カード、おなじみの貧乏神も初登場。息の長いシリーズとなる『桃鉄(略称)』の基礎を築き上げました。
続く『スーパー桃太郎電鉄Ⅱ』では、貧乏神が進化したキングボンビーが参戦。取り憑かれた人は手持ちのカードをすべて捨てられる、勝手に物件を買ってきては他人にプレゼント、時には数百億ものお金を捨てる……。「他人の不幸は面白い!(ゲームだけにしましょう)」という『マリオブラザーズ』以来の鉄則がバッチリ強化されました。
懐かしの初代『マリオパーティ』
このジャンルには任天堂も『マリオパーティ』(1998年)を投入しています。こちらも基本進行はサイコロを振るすごろく形式ですが、全キャラがマリオやピーチ、ヨッシーといった人気者ですし、ボードのマップもジャングルの遺跡や大きなバースデーケーキの上など色々とあり、全員で遊べる「ミニゲーム」がとても盛り上がります。
たとえ「釣り」や「旗揚げ」などで勝てなくても、マップ上での駆け引きによっては逆転もありえる。そうしたボードゲーム+ミニゲームで誰もが楽しむことができ、文字通り「ホームパーティの定番」になっていたりします。
【1990年代~】『ストⅡ』から始まった対戦格闘ゲームのブーム
対戦格闘型のレトロゲーム『ストリートファイターⅡ』
1991年、いよいよ本格的な「対戦格闘ゲーム」の夜明けともいえる懐かしのゲームタイトル『ストリートファイターⅡ』がゲームセンターに登場しました。前作『ストリートファイター』(1987年)のレバー操作+大中小6つのパンチ/キックボタンやコマンド入力による必殺技を受け継ぎつつ、大幅な進化を遂げたものです。
主な変更点は、「使用可能キャラの8人に性能差を付けた」ということ。まさに『マッスルタッグマッチ(略称)』がやったことを、美麗なドットで描かれたデカいキャラクターでやったのですから、面白くないわけがありません(絶妙なゲームシステムやバランス調整も忘れてはいけませんが)。
『ストⅡ(略称)』が盛り上がっていった経緯については、他の記事でも語ったことなので省略します。
そのブームが燃え広がったのが、家庭用ゲーム機「ネオジオ」での対戦格ゲー(略称)人気でしょう。
カッコ書きしたのはハードウェア本体が5万8000円、ソフトが3万円前後という高額さのためです。それでも『餓狼伝説』や『サムライスピリッツ』、『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズやりたさで出費をものともしない猛者が少なくなかったもの。
そうした流れは『バーチャファイター』シリーズや『鉄拳』シリーズにも受け継がれ、今なお対戦格闘ゲームは家庭に根づいています。
【2000年代~】アクションの新ジャンル「狩りゲー」を根づかせた『モンスターハンターポータブル』
もう1つ、家庭用ゲーム機からブームが生まれた人気ジャンルとしては「狩りゲー」があります。複数のプレイヤーが力を合わせて、手強いモンスターなどを“狩る“ゲームです。
密かに人気が高い名作『ファンタシースターオンライン』
おそらく原点は、セガの『ファンタシースターオンライン』(2000年~)。筆者も毎週末には徹夜するほどハマったものですが、「遊べるハードウェアがマイナー(ドリームキャスト)」であり「インターネット環境が必須(当時はまだ普及せず)」だったため、「知る人ぞ知る」に留まりました。
もはや懐かしい『モンスターハンターポータブル』シリーズ
本格的にブームになった始まりが、PSP用の『モンスターハンターポータブル』シリーズ(2005年~)でしょう。PS2用の初代『モンハン(略称)』はインターネット必須でしたが、『MHP(略称)』では携帯ゲーム機を持ち寄ればいつでも、どこでもマルチプレイができるようになりました。
その続編である『2nd』(2007年)ではPSPソフトとして初めてのミリオンセラーを達成。さらにパワーアップ版の『2nd G』(2008年)では社会現象に発展し、テレビCMでの「ひと狩りいこうぜ」というセリフが流行語になっていたほどです。『2nd』から登場した新たな敵・ティガレックスの強さがトラウマもので、他の人と協力プレイしないと!と思わせたのが良かったのかもしれません。
その後に『ゴッドイーター』(2010年)など他社のゲームも続き、セガも『ファンタシースターポータブル』(2008年)を引っさげて“復帰”しました。また『モンハン』も次々と続編が送り出されており、“狩りゲー”は定着したのでした。
【2000年代~】オンラインRPGとシューティングの人気ゲームたち
MMORPGの先駆け『ファイナルファンタジー』
光ケーブルなどの高速インターネット設備が普及してからは、多くのプレイヤーたちが同じ世界でともにプレイする「MMORPG」(大規模多人数型オンラインRPG)が人気を集めるようになりました。その先駆けとなったのが、2002年にサービスを開始した『ファイナルファンタジーXI』(以下『FF11』)です。
おなじみ『ファイナルファンタジー』の世界観が持つ親しみやすさと、インターネットを通じて見知らぬ人達とコミュニケーションを取れる新鮮さ、手強いモンスターと共に戦えるほか、自らモノを作って売買をしたり、本当に「その世界に暮らせる」ような体験に魅了されたゲーマーも少なくないはず。
PS2で遊ぶときは、本体のほかPlayStation BB Unitが必要だったり、そもそも日本ではまだ「ADSLさえ普及していない」ハードルの高さがありました。にもかかわらず、熱心に参加し続けたプレイヤーの支えや、「拡張パッケージ」を投入して世界を広げた(エリアを追加した)スクウェア・エニックスの粘り強さがあればこそ、現在までサービスが続いているのでしょう。2013年に登場した『ファイナルファンタジーXIV』ともども、『FF11』は今でも国内MMOの一翼を担っているのです。
衰え知らずの人気ゲーム『Fortnite』や『Apex Legends』
また海外生まれの『Fortnite』や『Apex Legends』といった「シューティングゲーム」も、不特定多数の人々と遊べる人気ゲームとして日本でも定着しています。
かたや『Fortnite』はTPS(三人称視点シューティング)であり、それほど性能が高くないスマートフォンでも遊びやすく、また建築要素もあって「戦い」が苦手な人でも楽しみやすい。さらに言えば、今流行りの「メタバース」開発にも力が注がれています。
その一方で『Apex Legends』はFPS(一人称視点シューティング)であり、この手のゲームにありがちな「狙いを付ける難しさ」が緩和されているし、体力も高くて死ににくい。それに試合の展開が速くて中だるみしにくく、他のプレイヤーと必要最小限の意思疎通ができる「シグナル」が豊富で人間関係もギスギスしにくい良さがあるのです。
【2020年代~】令和になって、これからゲームはどう変わっていく?
そして、いま時代は令和。かつての人気シリーズは今も衰え知らず、それどころかオンラインで繋がることにより、「ともに遊べる友達の輪」は全世界に広がっています。
『ストリートファイター』シリーズでは国境を越えて対戦が行われ、『桃太郎電鉄~昭和 平成 令和も定番!』(2020年)や『マリオパーティ スーパースターズ』も遊び仲間はネット越しにすぐ見つかります。
他にも『あつまれ どうぶつの森』(2020年)も、物理的な遠さと関係なく友達の「家」に遊びに行けたりもします。面白いものは時代を超えて面白く、しかもネットの広がりも相まってより面白くなり続けているのです。
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