バトロワゲームの歴史とは。『フォートナイト』『PUBG』『Apex Legends』はなぜヒットした?

テキスト:多根清史

『Fortnite(フォートナイト)』や『PUBG』、そして『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』。これらスマートフォンやゲーム専用機で大人気の対戦ゲームは、どれも「バトロワ系」と呼ばれています。

大まかな共通点は、「数十名~100名もの大人数で同時プレイ」や「最後の1人(ないしチーム)になるまで戦い、生き残ることが勝利条件」ということです。昼でも夜でも大勢が一箇所に集まり、互いに腕を競い合い、それでいて生身は傷つかないというのは、デジタルでバーチャルなゲームだからこそ楽しめる娯楽でしょう。

そんなバトロワ系ゲームのルーツはどこにあり、どうやって進化してきたのか。その歴史を遡り、今日までの道のりをたどっていきたいと思います。

バトロワゲームはファミコンやPCエンジンにもあった

バトロワゲームはファミコンやPCエンジンにもあった

「2名以上のプレイヤーが対決し、最後の一人になるまで戦う」という意味なら、30年近く前からありました。まず真っ先に挙げられるのが皆さんもご存じの『ボンバーマン』シリーズでしょう。爆弾を仕掛けて、爆風で敵を吹き飛ばすゲームです。
ファミコン用の『ボンバーマンⅡ』から2人対戦はありましたが、PCエンジン版(1990年発売)では最大5人での対戦が可能になりました。さらに『ボンバーマン’93』では爆弾が蹴れるようになり、いっそう駆け引きが深まりました。

ファミコンミニにも収録された『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』(1990年)も複数対戦ゲームの先駆け。
主人公のくにお率いる熱血高校チームをはじめ全4チームがクロスカントリーや玉割りをして点数を競い合うのですが、殴る蹴るや武器の使用もアリ。手段を選ばぬ足の引っ張り合いがとても熱く、何度もリメイクされている名作です。

そしてバトロワといえば『大乱闘スマッシュブラザーズ』は外せません。
初代(1999年)ではそれ以前の格闘ゲームとは違った操作や、互いの体力を奪うのではなく「場外に落とし合う」というルールが導入され、ほか対戦を盛り上げるための様々な工夫も盛り込まれました。何よりマリオやリンク、ピカチュウといった人気キャラが勢ぞろいした豪華さは、任天堂ならではといえます。

現代バトロワゲームの原点は『マインクラフト』?

現代バトロワゲームの原点は『マインクラフト』?

2020年現在でいうバトロワゲームのほとんどは、これまで振り返ってきた20世紀(1999年まで)とは、「多人数が戦う」部分以外はまったくの別ものといってもいいでしょう。

すなわち「マップ上に配置された武器を回収して使う」「それぞれの個人/チームが異なる地点からスタートする」「安全地帯が時間が経つにつれて小さくなる(そのため敵と遭いやすくなる)」という3つの要素があるかどうか、ということです。

こうした特徴は、すべて映画『バトル・ロワイアル』(2000年)に備わっているものでした。衝撃的な映画で、そのルールは日本国内のゲームや漫画にも大きな影響を与えました。さらに海外でも『ハンガー・ゲーム』(2012年)が大ヒットし、発想が似ているということで「バトロワ」(略称)も日本国外で有名になった経緯もあります。

それら映画の影響が直撃したのが、なんと子供向けゲームのはずの『マインクラフト』でした。その名もずばり「ハンガー・ゲーム」という対人戦のバトロワモードが有志により作られ、たちまち広まったのです。こうした運営側が公式に用意したものではなく、ユーザーが自らが作ったゲームの改造データ「MOD」が、バトロワゲームを発展させていくことになりました。

「PlayerUnknown」ことブレンダン・グリーンの活躍

まず大きな転機となったのが、2009年に登場した軍事FPS(一人称視点シューティング)『ARMA2』。そのMODとして公開されたのが、ゾンビがうごめく世界でのサバイバルゲーム『DayZ』でした。
そこに、一人の重要人物が現われます。それがハンドル名「PlayerUnnknown」ことブレンダン・グリーン氏であり、後の『PUBG』のクリエイティブディレクターです。
軍事FPSが大好きだったグリーン氏は『DayZ』のプレイヤーの行動により異なる展開が生まれる自由に魅せられて、さらに派生MODの『DayZ Battle Royale』を開発・運用。

そこで導入された「段階的に小さくなる安全地帯」について、ご本人は大好きな「バトロワ」の禁止エリア(留まり続けると首輪が爆発する)からインスピレーションを受けたと明かしています。

さらに本MODは2014年、『ARM3』(『ARM2』続編)用の『PLAYERUNKNOWN’S BattleRoyale』へと移行。ゾンビ要素がなくなり、航空機から一斉降下でスタートという形となり、いっそう現在の『PUBG』に近づくことになりました。

ここまでのグリーン氏はいちMOD作者、つまりアマチュアに過ぎません。が、すでに大きな影響力のあったPlayerUnnknownを、ゲーム会社らも放ってはおきませんでした。
まずデイブレイクゲーム(当時の社名はソニーオンラインエンタテインメント、つまりソニーの子会社)から声をかけられ、『H1Z1』のアドバイザーに就任。これは元々ゾンビサバイバルゲームでしたが、色々あって2つのプロジェクトに分割され、バトロワの方が『H1Z1』(現在は『Z1 Battle Royale』に改名)としてリリースされました。

その後『H1Z1』開発から離れたグリーン氏が韓国企業のブルーホールに招かれ、制作指揮を執って誕生したのが『PUBG』だったわけです。正式名称の『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』は、言うまでもなくグリーン氏のハンドル名にちなんでいます。

『フォートナイト』や『Apex Legends』の登場

『フォートナイト』や『Apex Legends』の登場

瞬く間に大ヒットとなった『PUBG』が火付け役となり、バトロワゲームが次々と登場したのはご存じの通りです。まず2017年9月に『フォートナイト』が基本無料のバトロワモードを追加すると、わずか数か月でプレイヤー人口が340万人を突破しました。

そして中国企業のネットイースも『荒野行動』も送り出し、こちらも大ヒット。さらに『Apex Legends』(2019年)や『コール オブ デューティー ウォーゾーン』(2020)もそれぞれ数千万人ものユーザー登録を獲得しています。

どれも一見すると似ているようでいて、実は各ゲームとも棲み分けできる強みを備えています。『PUBG』は元々パソコンゲームだけに(現在はiPhoneやAndroid版も出ていますが)美麗なグラフィックが特徴です。

それに対して『フォートナイト』はキャラクターや背景がシンプルな分だけ、高級機のスマートフォンでなくとも遊べて敷居が低いし、『マインクラフト』のような建設要素もある。
そして『コール オブ デューティー』は老舗シリーズの知名度あり、『Apex Legends』は各キャラクターに固有の特殊能力があり、それを使いこなすことでチームの総力を底上げできる面白さがあります。

・関連記事:フォートナイトとは?人気の理由と、子供が遊ぶ注意点

テトリスやマリオもバトロワゲームに参戦

これら『PUBG』を元祖としたゲームは主に「敵を銃で倒す」ものですが、バトロワゲームの大人数で遊ぶ楽しさは他のシステムでも応用できるはず。そんなわけで「銃を撃たない」バトロワゲームも増えつつあります。

たとえば任天堂は99人と対戦する『テトリス99』(2019年)や、35人のマリオが互いに倒した敵を他のコースに送り込んでミスを誘う『スーパーマリオブラザーズ35』(2020年)を投入。どちらも懐かしいタイトルのはずが「こんな楽しさは初めてだ」と感動の声が上がっていました。
また60人のプレイヤーがミニゲームを繰り返し、最後の一人だけが王冠をつかむ『Fall Guys』も今年8月に発売されるや大ブレイクしています。障害物競走や大玉転がし、シーソーゲームなどルールも分かりやすく、他人を直接妨害できる要素も少ないため、バトロワゲームの中では異例のほのぼのさだったりします。

バトロワゲームは先に始めたプレイヤーほど上手くなる傾向があるため、初心者は入りにくさを感じやすいもの。
ですが、しだいに「怖くない」方向に寄せた新作も続々と登場していることもあり、どこかのタイミングで参加してみてもいいかもしれません。


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