有線LANにつないで通信速度を速めたいけど、LANポートに空きがない……とお困りの方もいるのではないでしょうか? そんなときに便利なのが、LANケーブルを分岐する方法です。今回は、LANケーブルを分岐する方法や注意点について紹介します。
ライター: CLIP編集部
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LANケーブルの分岐はできる?

LANケーブルは、専用のツールを活用することで、二股またはそれ以上に分岐させて使用できます。
専用ツールによるLANケーブルの分岐は、パソコンやゲーム機、プリンターなど、複数のデバイスを使用していてポートに空きがないときに便利な方法です。以下の項目で、LANケーブルを分岐させる方法についてくわしく紹介します。
なお、LANケーブルを分岐させるメリットやデメリットについては以下の記事でも紹介しています。興味がある方は合わせてチェックしてみてください。
LANケーブルを分岐する3つの方法

LANケーブルを分岐させる方法としては、主に以下の3つがあります。
- スイッチングハブ
- LANケーブルの延長コネクタ
- モデム兼ルーター(ブリッジモードで)
それぞれの特徴や接続方法などについて紹介します。
1.スイッチングハブ
ハブとは、複数のデバイスをケーブルで接続する際の中継点の役割を持つ機器です。ハブを利用することで、複数のデバイスをケーブルで接続するネットワークを構築できます。
スイッチングハブは、特定の宛先にピンポイントで通信を送れるハブの一種で、LANケーブルの差込口を増やすときなどに活用されます。コンセントのテーブルタップのように、スイッチングハブを設置することで、簡単にLANポートを増やすことができます。
LANポートを分岐する機器にはさまざまな種類がありますが、スイッチングハブを利用するのがもっとも一般的といえるでしょう。
【スイッチングハブと類似機器の違い】
スイッチングハブの類似機器として、リピーターハブとルーターがあります。それぞれの違いについて簡単にご紹介します。
・スイッチングハブとリピーターハブの違い
特定の宛先にデータを送信するスイッチングハブに対して、リピーターハブは接続しているデバイスすべてにデータを送信します。通信の表面的な結果に違いはありませんが、宛先を特定して通信するスイッチングハブの方が効率的で、ネットワーク全体の負荷が軽減されます。
・スイッチングハブとルーターの違い
ルーターは複数のデバイスをインターネットに接続する機器で、デバイスとルーター間のデータの送受信など、データの流れを管理する役割があります。スイッチングハブは単にLANポートを増やすために使われるため、ルーターのようにデータの流れを管理する機能を持っていません。
【スイッチングハブの選び方は?】
スイッチングハブの中にもさまざまな種類があるため、どれを選ぶべきか分からないという方も多いでしょう。スイッチングハブを選ぶときに確認したいポイントを簡単に紹介します。
- LANポートの数:接続したい機器が多い場合は、差込口が多いタイプを選ぶ
- 転送速度:接続機器が多い、通信速度の速度を上げたい場合は1000BASE-T以上を選ぶ
- PoE対応:LANケーブルから電力が供給されるため、コンセントがないときに便利
- 静音性:静音を重視する場合はファンレスタイプがおすすめ
- 電源タイプ:コンセント周りをすっきりさせたいときは電源内臓タイプがおすすめ
- 本体の素材:放熱性を重視する場合は金属製、価格重視ならプラスチック製
- 付加機能:通信を安定させる「ループ検知・遮断機能」などを用途に合わせて選ぶ
これらのポイントを踏まえて、用途に合った製品を選びましょう。
【スイッチングハブ導入時の注意点】
コンセントのタコ足配線のように「スイッチングハブ2台をつなぎ、さらにポートを増やす」といった方法も可能ですが、同時通信するデバイスが増えることで通信速度が落ちる可能性があるので注意しましょう。
またネットワーク配線がループすることで、ブロードキャスト(一斉配信)用のデータや信号が無制限に転送され続ける「ブロードキャストストーム」が発生し、ネットワークがダウンしてしまう恐れがあります。複数のスイッチングハブを導入して配線が複雑になることで発生しやすくなるほか、「同じスイッチングハブのLANポートにケーブルの両端をつながない」といった点に注意しましょう。「ループ検知・遮断機能」を搭載したスイッチングハブを使うのもおすすめです。
なお、ここでご紹介したスイッチングハブの概要や選び方、注意点は以下の記事で紹介しています。詳しく知りたいという方は合わせてチェックしてください。
2.LANケーブルの延長コネクタ
延長コネクタとは、2つのLANケーブルを結合するための機器です。複数のデバイスをつなぐのではなく、単に長さが足りない場合は、延長コネクタともうひとつケーブルを準備すれば、簡単にLANケーブルを延長できます。
【スイッチングハブと延長コネクタの違い】
LANケーブルの分岐を目的に、複数のポートがあるスイッチングハブに対して、延長コネクタのポートは2つしかなく主にLANケーブルの延長を目的に使用されるものです。ハブのようにケーブルを複数分岐させ、複数のデバイスを同時に接続することはできない点は注意が必要です。ケーブルの長さではなく、ポートを増やしたい場合はスイッチングハブか、以下のモデム兼ルーター(ブリッジモードで)を検討しましょう。
3.余ったルーターをブリッジモードで利用する
余ったルーターを活用し、「ブリッジモード」に設定して分岐させる手順について紹介します。なお、具体的な接続方法の手順はメーカーごとに異なるため、詳しい接続手順はご利用の無線ルーターの説明書をご確認ください。
【ONUとルーターを活用する方法】
- ルーター機能が搭載されたONUとルーターをLANケーブルでつなぐ
- ルーターを「ブリッジモード(APモード)」にする
(※)ルーターの機能を無効化するモード - 「ブリッジモード(APモード)」にしたルーターのポートにLANケーブルをつなぐ
【ルーターを2台活用する方法】
- ルーター同士をLANケーブルでつなぐ
- モデムとつなぐルーターを「(※)ルーターモード」にする
(※)複数の端末をインターネットに接続できるようにするモード - スイッチングハブ化するルーターを「ブリッジモード(APモード)」にする
- 「ブリッジモード(APモード)」にしたルーターのポートにLANケーブルをつなぐ
ルーターの設定を変更する必要があるため、やや手間がかかりますが、余ったルーターがある場合は、予算をかけずにLANケーブルを分岐できます。
また、「ルーター機能付きONUとの干渉を避けて通信速度を改善できる」「無線LANの環境を整えられる」「Wi-Fiの通信範囲を広げられる」といったメリットもあるので、ぜひ試してみてください。
【余ったルーターを活用するときの注意点】
ブリッジモードを活用してLANを分岐させるとき、ルーター同士をLANケーブルで接続するため、長すぎるケーブルを使うと配線が邪魔になってしまいます。そのため、できるだけ短いケーブルを活用するのがおすすめです。
短いケーブルが準備できない場合は、ルーターを壁側に設置し、ケーブルを壁に沿わすように配置しましょう。テープなどで固定すれば、長いケーブルでもそこまでに気になることはないでしょう。
また、特定エリア内にルーター機能がオンになった通信機器が2台以上ある状態を「二重ルーター」と呼び、通信トラブルの原因になります。余ったルーターをスイッチングハブとして活用するときは、必ずブリッジモードになっているかどうかを確認しましょう。
ルーターをブリッジモードにするメリットや方法、二重ルーターのリスクについては以下の記事でも解説しています。くわしく知りたい方は参考にしてみてください。
・関連記事:Wi-Fiルーターのブリッジモードとは?使用場面や注意点
・関連記事:二重ルーター状態とは?確認・解消する方法
LANケーブルを分岐する際の注意点は?
LANケーブルを分岐する際の注意点としては以下があります。
- スイッチングハブはルーターを通して接続する
- 処理能力が高いルーターを使用する
- 接続台数が多いときは業務用のアイテムがおすすめ
スイッチングハブを利用するときは、必ずルーターを通して接続しましょう。ハブにはルーターの機能はないため、モデムのLANポートを直接接続して使用することはできません。
また、ルーターの処理能力にも注意が必要です。処理能力が低いルーターの場合は分岐後に通信速度が落ちてしまう可能性があります。接続台数が多い場合は、業務用のルーターやハブの利用を検討しましょう。
なお、LANケーブルを分岐する際の注意点は以下の記事で解説しています。合わせてチェックしてみてください。
無線接続と有線LANを使い分けてインターネットを便利に

LANケーブルの分岐は、今回ご紹介した方法で簡単に行うことができます。
ただし、スイッチングハブやルーターを複数導入すると、パーツが増えて配線が複雑になってしまうほか、紹介したブロードキャストストームが発生や、通信速度の低下、あるいは設定ミスによる二重ルーターの発生などのリスクもあります。
通信速度を重視して有線でインターネットを使用したいという方も多いかと思いますが、有線での分岐が増えすぎてしまいそうなときは、部分的にメッシュWi-Fiや中継器などを活用した無線接続を導入するのもおすすめです。
有線・無線にこだわるのではなく、それぞれの特徴を活かして、快適なインターネット環境を構築しましょう。
・関連記事:有線LANより無線LANのほうが速い原因は?有線LANが遅いときの対処法
・関連記事:eoコラム-メッシュWi-Fiとは?中継機との違いやWi-Fiを強くするメリットを初心者向けに解説
まとめ
LANケーブルの分岐は、スイッチングハブ・延長コネクタ・ルータのブリッジモードという3つの方法で実現できます。
「ポートを複数確保したい場合はスイッチングハブ」「単にケーブルを伸ばしたい場合は延長コネクタ」「ルーターが2台ある場合はブリッジモード」など、用途や条件に合わせてやり方を選んでみてください。
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※上記掲載の情報は、取材当時のものです。掲載日以降に内容が変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。