本来は安定したインターネット環境を構築するWi-Fiですが、まれに電波干渉や通信障害をはじめとした、さまざまな理由によって遅延が発生してしまいます。その原因の一つが「二重ルーター」。
本記事ではこの二重ルーターとは何か、そしてその確認・解消方法を解説します。
二重ルーターとは
「二重ルーター」とは、インターネット環境を構築したい特定のエリアに、ルーター機能がオンになった通信機器が2台以上存在する状況のこと。
この状態では主に以下のリスクが発生します。
- データ転送の際に、その経路を導き出す「ルーティング」の回数が増えてしまい、速度遅延が起こる
- IPアドレスの重複が発生し、オンラインゲームをはじめとした一部コンテンツが利用できなくなる
- それぞれ別のルーターに繋がっているデバイス同士では、ファイルの送受信ができないため、プリンターなどがうまく利用できなくなる
Wi-Fiルーターそのものが1つしか存在しなくても、ONU(光回線終端装置)などが原因で二重ルーターになることがあります。ONUは光ファイバーケーブルから届く光信号をデジタル信号にし、パソコンなどの端末から届くデジタル信号を光信号に相互変換することで、通信を可能にする機器です。このONUにルーター機能がついていると、気づかぬうちに二重ルーターになっていることがあるのです。
インターネット完備の集合住宅で別のWi-Fiルーターを設置した場合にも二重ルーターとなり、電波干渉による通信障害が起こることがあります。
Windowsパソコンによる二重ルーターの確認方法
現在インターネットを利用している場所が二重ルーターになっていないかどうかは、パソコンから確認できます。
まずは「コマンド プロンプト」を開きます。
開かれた画面に「Tracert -d 8.8.8.8」と入力。
その結果、以下の数字(ローカルIPアドレス)の範囲内で、もし「192」「172」「10」から始まる数値が2つ以上表示される場合は、二重ルーターになっています。
- 「192.168.0.0」 ~ 「192.168.255.255」
- 「172.16.0.0」 ~ 「172.31.255.255」
- 「10.0.0.0」 ~ 「10.255.255.255」
今回の実施結果は以下です。
上記のキャプチャから、今回実施した場所では、赤枠上段に「192.1~」が1つのみ表示されているため、二重ルーターではないことが分かります。
二重ルーターの解消方法
もし二重ルーターになっていた場合は、Wi-Fiルーターのモードをブリッジモードに切り替え、対処します。
Wi-Fiルーターには有線のインターネット回線を無線に変換し、複数の端末をインターネット回線に接続することができるルーターモードと、ブリッジモード(アクセスポイントモード)が存在します。ブリッジモードはルーター機能を無効にし、親機からのインターネット回線をそのまま複数のデバイスに受け流すモードです。ブリッジモードではルーター機能は使えなくなるため、電波干渉による不具合は発生しません。
ルーターのモード選択は以下の通り。
- ONUやモデムにルーター機能がある場合 → Wi-Fiルーターをブリッジモードに
- ONUやモデムにルーター機能がない場合 → Wi-Fiルーターをルーターモードに
解消しても改善しない場合
二重ルーターを解消してもインターネット環境が良くならない場合は、そもそも電波が届いていない可能性があります。
ルーター機器の電源を入れ直したり、プロバイダから通信障害に関するお知らせが出ていたりしないか確認しましょう。
機器本体やプロバイダに問題がなければ、ルーターから端末までの距離の長さや、電子レンジなど強力な電波を発する機器による電波干渉が原因かもしれません。
これらが原因であれば、Wi-Fiの周波数帯を変えて解決できる場合もあります。Wi-Fiには「G」(2.4GHz帯)と「A」(5GHz帯)、2つの周波数帯が存在します。Wi-Fi「G」(2.4GHz帯)は壁や床などの障害物に強く、電波が遠くまで届きやすい一方で、他の家電が発する電波と周波数帯が同じため、電波障害を受けやすいのが特徴。Wi-Fi「A」(5GHz帯)は「G」に比べて電波干渉を受けにくい反面、障害物に弱いといった特徴があります。環境に応じて切り替えてみましょう。
それでも電波が届かない場合は、特定のエリアに隙間なく電波を届けるメッシュWi-Fiの構築や、特定の方向に集中して電波を届けるビームフォーミング機能を備えたルーターの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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・参考記事:eoコラム-メッシュWi-Fiとは?中継器との違いやWi-Fiを強くするメリットについて解説
まとめ
もしご自宅で日常的にインターネット通信の遅延が起こっているのであれば、その原因は二重ルーターかもしれません。
特定のエリア内にルーター機能を持った機器が2つ以上存在する場合は、今回紹介した方法で二重ルーターになっていないか、一度確認してみてはいかがでしょうか。
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