「バードウォッチング」が今静かなブーム!アプリを使って初めてでも簡単·気軽に楽しめる

おでかけ日和が続く春は、新しいことにチャレンジしたい季節。そんな方に今おすすめしたいのが「バードウォッチング」!
実は近年、イギリスやアメリカを中心にミレニアル世代の間で流行しているって知っていましたか? ゲーム感覚で野鳥観察ができるアプリが続々登場した影響もあって、都市でバードウォッチングをする人が増え、「アーバン・バーダー(都市でバードウォッチングをする人)」と名乗る人まで。そして日本でもその波は着々と押し寄せてきています。

バードウォッチングと聞くと、ハイエイジの趣味で、遠出をして山や森の中に入ったりと若い人には敷居が高いイメージでしたが、なぜ今、バードウォッチャーの人口が増えているのでしょうか。鳥類の調査や野鳥観察イベントを企画する「NPO法人 バードリサーチ」に、お話をうかがいました。

ライター:CLIP編集部

ネットの普及でハードルが下がったバードウォッチング

――最近、バードウォッチャーに若者が増えているらしいのですが、ご存じでしたか?

いえ、全然知らなかったです(笑)。私たち、バードリサーチの登録者にも若い世代の方が順調に増えてきていますが、緩やかな右肩上がりですね。

――やはりメインは団塊の世代なのでしょうか。

そうですね、そこから上の世代の方が大半です。バードウォッチングは数十年前にブームがあり、その頃に始めた方がありがたいことに今でも趣味にしてくれているという印象ですね。
さらに言うと、我々バードリサーチは野鳥観察だけではなく、その生息地などのデータを蓄積して調査をする、言わば自然保護を目的としているNPO法人なんです。そのため、野鳥観察を数年経験して「この自然を守りたい!」と思った方が会員になってくださっています。

――なるほど。その中で若年層も増えているということなんですね。

双眼鏡とスマホだけでOK! 実はシンプルな「バードウォッチング」

――やはりネットの普及が要因になっているんですかね。

断言はできませんが、それも一つかと思います。初心者の方でも、どこへ行けばいいのか、調べれば出てきますから、ハードルが下がってきているのだと思います。バードウォッチャーが増えていることはありがたいですね。

――確かに「バードウォッチングは早朝がいい」とか「鳴き声を頼りに探す」とか、How to的なものは出てきますね。

鳴き声を頼りに探す

そうですね。鳥は高い木の上や草むらに隠れていることが多いので、目ではなく鳴き声を聴いて探すのがベストですね。少し歩いたら立ち止まって耳をすませる。歩きながら探すこともできますが、意外と歩くときって音が出てるので、聴こえないんですよね。それに鳥は警戒心が強いので、立ち止まって姿が現われるのを待つ方がいいんです。
また時間帯については、日の出前後はよく鳴き声を発していて探しやすい。ただ「この時間が正解!」というものはなく、いつバードウォッチングをしても問題ありません。あくまでも早朝の方が見つけやすいだけで、日中でも鳥は活動していますからね。

――早起きしないといけないと思っていたので、昼間でもいいのはありがたいですね。

あとは「山や森の中に入って観察する」と思っている人もいますが、これも絶対ではありません。バードリサーチの会員の中には、毎日庭に来る鳥をベランダから観察している人もいますし、電車の車窓から見える鳥を報告される方もいらっしゃいます。

バードウォッチングの必需品って何がありますか?

――バードウォッチングの必需品って何がありますか?

双眼鏡と鳥の図鑑ですね。双眼鏡は8~10倍がベストです。すごく高倍率の双眼鏡だと、視界が狭くなりすぎて探しにくいので、これくらいが丁度いいと思います。図鑑のほうは、バードウォッチャー用のスマホアプリを活用すると身軽になるのでいいと思います。
ちなみに私たち、バードリサーチのWebサイトでは「さえずりナビ」と言うものがありまして、「ここでこの鳥を見つけた」と誰でも記入でき、MAP上で見ることもできます。さらに鳴き声も登録しているので、「あの鳥は何?」というときでも、鳴き声で調べることもできます。

大阪市のフィールドノート
大阪市のフィールドノート

――鳴き声で調べられるのは便利ですね。

日本だけでも約600種類の鳥が生息していると言われています。「この鳥きれいだけどなんだろう」とただ観察するよりも「あっ、この鳥は○○だ」と知る楽しみを覚えるとより面白くなってきます。なので、初めてバードウォッチングをする人は、まず近場で観られる鳥30種類くらいを覚えるといいと思います。

あっ、この鳥は○○だ

――あと、バズーカみたいなカメラを持っているイメージがありますが、必要ないんですか?

バズーカとは、言い得て妙ですね(笑)。確かに撮影をするのであれば、高倍率のレンズを付けたカメラがあった方がいいと思いますが、基本的にはバード“ウォッチング”ですから、観察することが目的で、撮影目的ではありません。だからカメラは必須ではないと私は思います。

いつでもどこでも参加できるイベント! 「インターネット・バードソン」とは

――バードリサーチが主催している「インターネット・バードソン」についてお聞きしたいのですが……。

これは、バードソンと呼ばれるバードウォッチングの大会が元となっているんです。バードソンというのは、決められた時間内で何種類の鳥を見つけられるかを競う大会です。大体は丸一日掛けて行うのが主流ですが、実施されている場所に行かないといけない、一日しかないから朝早くから始めないといけない、などバードソンのために頑張ってバードウォッチングをする方もいらっしゃいます。しかし忙しい方も多く、参加したくてもできない方がいらっしゃると思うんです。そこで日常の中で競技に参加できるように解消したのが「インターネット・バードソン」です。

――どのような内容なのですか?

基本的なルールは普通のバードソンと一緒で、見つけた鳥の種類数で競うのですが、場所と時間を広くとりました。まず開催場所は日本各地、特に決めていないのでどこでもいいんです。先ほども出ましたが、私たちのHPにある「さえずりナビ」を活用して、鳥を見つけたらそこに記入していく。その記録数によってリアルタイムで順位が入れ替わっていくんです。期間も2週間と、長めに取っています。

――それなら、出勤前やお昼休みにちょっとずつ、コツコツと参加できそうですね。

インターネット・バードソン
2020年1月1日~1月19日に実施されたインターネット・バードソンの集計結果。色が濃いほど、観測された報告が多い

私たち、バードリサーチの本来の目的は自然保護。そのためデータは多いほど助かります。日常的に参加できることで、参加者が少しでも多くなることがとてもありがたいですね。参加者は野鳥観察を楽しみ、私たちは貴重なデータを得ることができる。エンタメ性と公益を兼ね備えた大会なんです。

――そして、そのデータを元に環境保護活動を進めていくってことですね。

はい。都市開発や温暖化の影響などによって、どんどん自然がなくなってしまっています。それを守ることで、より多くの野鳥を観ることができるんです。
バードウォッチャーが増えることで、自然についても関心を向ける人も増えて、人にとっても鳥にとっても過ごしやすい環境になればいいなと思っています。

――本日は、ありがとうございました。ちなみに、次の「インターネット・バードソン」はいつ開催されるのですか?

次回は、2020年5月23日~6月7日までを予定しています。この時期は、繁殖期になりますので、鳥の鳴き声も良く聞こえるバードウォッチングに最適な季節なんですよ。木に葉っぱが茂って姿を見つけることは難しいですが、普段は観られない野鳥を見つけることができるかも知れません。ぜひ参加してみてください!

■ まとめ

次回、大阪市内でバードソンを開催!
CLIP編集部のスタッフ数名でバードソンを実際にやってみました。
大阪市内の3か所でバードウォッチングを1時間だけ行い、見つけた種類数を競います。
バードウォッチング初心者でも、楽しめるのか……。乞うご期待!

後編はこちら


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