Excelを簡単に自動化するには?メリットや「マクロの記録」機能の活用方法

データ入力や集計作業など、さまざまな業務に欠かせないExcelですが、「入力作業の負担を軽減したい」という方もいるのではないでしょうか?

Excelは「マクロ」という機能を使うことで作業の自動化ができ、工数削減・業務効率化・ミス軽減などに役立てられます。その結果、品質向上や業務の属人化防止にもつながります。

そこでこの記事では、Excelを自動化するにあたって、初心者におすすめの方法や活用事例について紹介します。

ライター: CLIP編集部

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簡単にExcelを自動化する方法は?

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Excelを自動化する8つの方法

Excelを含めた業務を自動化する方法としては以下の8つがあります。

概要自動化の範囲難易度・コスト
マクロExcelで繰り返し行う操作手順を自動化できる機能。実体はVBAコード。『マクロの記録』機能で初心者でも簡単に作成可能。Excel操作(入力・計算・整形など)Excelの標準機能。無料で始められるもっとも簡単な方法
VBAExcel内で動作するプログラミング言語。マクロよりも複雑な処理も可能。Excel中心+他Office製品連携Excelの標準機能。無料で始められるが、プログラミングスキルがやや必要
BIツールデータを可視化・分析するツール。自動集計やレポート作成に強い。データ集計・レポート作成有料。難易度は選択するツールによって異なる。
RPAツールPC上の操作を自動実行するツール。複数アプリをまたぐ処理も可能。業務全般(ブラウザ・Excel・メールなど)有料。難易度は選択するツールによって異なる。
Python自動化スクリプトを柔軟に作成するプログラミング言語。Excel外も含む業務全般プログラミングスキルが必要
iPaaSクラウド上でアプリ同士を連携・自動化するサービス。クラウドサービス間のデータ連携有料。難易度は選択するツールによって異なる。
API連携システム間を直接つなぐ仕組み。データ送受信や業務連携を自動化。各システム間のデータ連携API連携が可能な有料ツール、APIの使用理解が必要
AI文章生成やデータ分類・分析を自動化。ChatGPTやCopilotなども含む。文書作成・分析・要約・問い合わせ対応有料。難易度は選択するツールによって異なる。

Excelを含めた業務の自動化ツールには、このような種類があります。この中で、Excelの自動化に特化しているのは、マクロとVBAの2種類です。VBAはプログラミングスキルが必要になるため、初心者の方は「マクロの記録」機能の使い方を覚えるとよいでしょう。

初心者は「マクロの記録」機能がおすすめ!VBAとの違いは?

マクロは「複数の処理を自動化して実行する機能」のことです。マクロを利用することで、決まった作業をExcelに記録でき、いつでも簡単に呼び出して実行することができます。

マクロとVBAの違い

マクロは、Excelで「複数の操作をまとめて自動実行する仕組み・機能」の総称で、VBA(Visual Basic for Applications)というプログラミング言語で書かれています。
VBAは、Microsoft Office製品に搭載された、手動操作をVBA記述として記録できる簡易プログラミング言語で、マクロのベースになっています。
VBAを直接編集するスキルがあれば、WordやPowerPointにも応用できるほか、自動化の幅を広げることができます。覚えておくと非常に便利ですが、次に紹介する「マクロの記録」機能だけでもさまざまな自動化が可能なため、初心者の方が無理にチャレンジする必要はないかもしれません。

マクロと「マクロの記録」機能の違い

マクロは、上述したようにExcelで「複数の操作をまとめて自動実行する仕組み・機能」の総称ですが、マクロを作成するには、VBAコードを自分で書く方法と、「マクロの記録」機能を利用する方法があります。
「マクロの記録」機能とは、マクロ作成を手軽にする便利な機能で、Excel上で行った操作を自動的にVBAコードとして記録し、プログラミングの知識がなくても誰でも簡単にマクロ(自動化処理)を作成できる機能です。初心者の方は、まずは「マクロの記録」機能の使い方を覚えておくとよいでしょう。

業務効率化にはショートカットキーやVLOOKUPも

自動化にこだわらない場合は、Excelのショートカットキーを覚える、VLOOKUP(大量のデータの中から必要な情報を迅速に抽出する関数)などの関数を活用する方法もあります。

マクロによる自動化と合わせて、このようなテクニックを使用することで、Excel業務をさらに効率化できるでしょう。

「マクロの記録」機能の使い方

「マクロの記録」機能の簡単な使い方を紹介します。

開発タブの追加

Excelのリボンに開発タブがない場合は、以下の方法で追加しましょう。

  1. 「オプション」→「リボンのユーザー設定」をクリック
  2. 右側にある「メインタブ」から「開発」にチェックを入れてOKをクリック
  3. Excelのシートに戻り、リボンに「開発」のタブが追加されているか確認

「マクロの記録」機能の使い方

「マクロの記録」機能は以下の方法で簡単に使うことができます。

  1. 開発タブの「マクロの記録」をクリック
  2. ウィンドウの「マクロ名」と「マクロの保存先(作業中のブック)」を入力してOKをクリック

以上の設定で、ここからの作業はすべてマクロに記録されます。誤った操作が記録されないように、注意して作業をしましょう。作業が完了したら、開発タブに表示される「記録終了」をクリックします。

記録したマクロを実行する場合は、開発タブのマクロのアイコンをクリックしましょう。表示されたマクロ一覧から使用したいマクロを選び、「実行」をクリックするだけで利用できます。

マクロでできることは?活用事例も

 マクロでできることは?活用事例も

Excelの「マクロ」は、毎回同じ手順で行う定型作業や、複数回にわたる反復処理など、継続的に発生する繰り返し作業を自動化できる非常に便利な機能です。

ここでは、初心者でも簡単にマクロを作成できる「マクロの記録」機能を使った活用事例を中心に、VBAを活用したより高度な自動化の代表例についても紹介します。

データ入力・編集の自動化

「顧客リストを毎日別ファイルから転記する」「営業日報のテンプレートに顧客名や日付を入力する」など、繰り返し行うデータ入力や編集業務を「マクロの記録」機能で自動化できます。決まったデータ入力や編集は「マクロの記録」機能で簡単に自動化できます。

セルの書式設定の自動化

「マクロの記録」機能を使用することで、書式設定の自動化も可能です。フォント、文字サイズ、セルの色付け、罫線などを記録しておくことで、書式設定を繰り返す手間を省くことができるほか、ケアレスミスの予防にも有効です。

同一ファイル内のデータ転記

「マクロの記録」機能を使用することで、顧客情報を別のシートに移す、日次・月次のレポートを年次の集計表にまとめるといった転記作業を完全に自動化できます。手作業の場合、数時間かかっていたような作業でも、「マクロの記録」機能を利用することで、数秒で完了できるタスクになります。また、手作業で発生するミスの予防にも効果的です。

複数のデータの一括印刷

Excelで作成したデータの一括印刷も「マクロの記録」機能の代表的な活用例です。Excelで作成した売上管理表をもとに、取引先ごとの請求書をまとめて印刷するといった処理が可能で、月次処理を効率化するのに役立ちます。ただ、扱うデータ量が多すぎるとエラーが発生する可能性もあるため注意しましょう。

メールの送信を自動化

マクロを使用することで、Excelシートで作成した顧客名簿から、メールを一斉送信することもできます。キャンペーンやセミナーのお知らせなど、たくさんのメールを一斉送信したいシーンで役立ちます。

ただし、メールの一括送信はメールアプリとの連携が必要になるため、VBAの編集が必要になります。また、大量データの処理が途中でエラーになることもあるため注意が必要です。

さらに、メール誤送信を防ぐため、一斉送信前には顧客名簿のメールアドレスが正しいか確認しましょう。送信エラーが出た場合は原因の特定や再送信に手間がかかるため、事前のチェックやテスト送信など、慎重に運用することが大切です。

集計作業の一括処理

「各店舗の売上データをまとめて、1年分の売上の推移をグラフにする」といった集計作業もマクロを使用することで自動化できます。

ただ、集計からグラフ化までの一連の作業を自動化するためには、一定のVBA知識やスキルが必要です。Web上にVBAを用いた集計方法などの情報が多数掲載されているため、「マクロの記録」機能に慣れてきたらチャレンジしてみてもよいでしょう。

マクロでExcelを自動化するときの注意点

マクロでExcelを自動化するときの注意点

Web版Excelはマクロが利用できない

無料で利用できるWeb版Excelには機能制限があり、マクロやVBAは利用できません。ライセンスがある場合は、「Officeスクリプト」という機能で自動化ができるので、そちらの利用を検討しましょう。

また、セキュリティソフトが原因でマクロが使用できなくなるケースがあります。セキュリティソフトを利用している方は、マクロが使用できるように設定を変更するといった対応を行いましょう。

複雑な自動化はその他の方法を検討する

「パソコン業務全体の効率化」「データ抽出や分析作業の自動化」など、規模が大きく、処理が複雑で、その他のシステムとの連携が必要な自動化は「マクロの記録」機能・VBAだけでは対応できません。
そうしたケースでは、PythonやRPAツール、BIツールなど、より高度な自動化手法の導入も検討しましょう。自動化したい業務範囲や規模に応じて、最適な手法やツールを選択することが重要です。

自動化したい作業がマクロで対応できるか分からない場合や、具体的な方法が分からない場合は、生成AIを活用するのもおすすめです。AIに質問すれば、解決策や実施例を提案してくれるケースがあります。

ただし、精度の高い回答を得るには、AIへの指示をできるだけ具体的にするのが大切です。その際、情報漏えいや個人情報の流出を未然に防ぐために、機密データや個人情報はアップロードしないようにしましょう。

エラーやリスクへの対処方法を考える

大量のデータを一気にマクロで処理しようとすると、Excelの処理能力を超えてしまい、フリーズやエラーが発生しやすくなります。「元データをコピーしてバックアップしておく」など、作業をすぐに再開できるように準備をしましょう。

また、マクロ機能を悪用した、パソコンの乗っ取りやウイルス感染といった被害が多数報告されています。「信頼できるサイト以外からテンプレートをダウンロードしない」「マクロを使用した拡張子になっているファイルは開かない」「不用意にマクロを有効にしない」といった点に注意しましょう。

まとめ

業務を自動化する方法にはさまざまな種類がありますが、Excelだけの自動化を考える場合はマクロやVBAを活用するのがおすすめです。

ただ、VBAを利用するためにはプログラミング言語の知識や経験が必要なため、手っ取り早く自動化をしたい場合はExcelに標準搭載されている「マクロの記録」を利用しましょう。

データ入力や編集、転記、印刷のほか、書式の一括設定などの定型作業であれば「マクロの記録」機能で手軽に自動化できます。Excel初心者の方はぜひチャレンジしてみてください。


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