ゲームや雑談などの配信を行う際、サービス(YouTube、Twitchなど)から直で配信するよりも高品質な配信を行いたい場合は配信ソフトの利用がおすすめです。有料・無料問わず、さまざまな配信ソフトがありますが、なかでも人気なのが「OBS Studio」。無料な上に連携しているアプリやサービスも多いため、「配信するならとりあえずOBS」という意見もネット上で多く見られるほどです。
この記事では、OBS Studioのインストール方法から配信や録画・録音方法まで、実際にOBSを利用して配信を行っている筆者が解説します。
ライター:荒井啓仁
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OBSとは?
OBS Studioとは「Open Broadcaster Software」というオープンソースで開発されたソフトウェア。録画・録音や配信に特化しており、ゲーム画面やWebカメラの映像とマイクからの音声をOBS上に統合することで、スムーズな配信や録画・録音ができるようになります。WindowsとMac、Linuxなど、主要なOSに対応しており、無料で利用が可能。YouTubeやTwitchなど多くの配信サイトと連携ができ、外部アプリケーションも充実していることから多くのユーザーから支持されているソフトです。
OBSのインストール
OBSはWindows、Macともに公式サイトからインストーラーをダウンロードできます。利用しているPCのOSに対応したインストーラーを選び、手順に従い操作を行うだけでインストール可能です。
OBSは、オープンソースかつ利用者が多いソフトのため安全性は高いとされているものの、フリーソフトである以上、100%安全ではありません。ダウンロードする際は細心の注意を払いましょう。
OBSの必要スペック
OBSを動かすために必要なスペックは以下の通りです。OSからCPU、メモリー、空き容量などを表にまとめています。(2024年5月時点)
Windows | Mac | |
OS | Windows 10 または Windows 11 | macOS 11 (「Big Sur」) 以降 |
CPU | Intel i5 2500K, AMD Ryzen 1300X | Intel quad-core recommended |
メモリー | 4 GB RAM | 4 GB RAM |
グラフィックボード | GDirectX 10.1互換GPU(GeForce GTX 900 Series, Radeon DirectXRX 400 Series, Intel HD Graphics 500) | Intel or AMD |
DirectX | Version 11 | ✕ |
空き容量 | 600MB以上 | 800MB以上 |
参考サイト:System Requirements | OBS
参考サイト:OBS Studio on Steam
パソコンのスペックの確認方法やGPUなどの詳細は関連記事をご覧ください。
関連記事:パソコンの選び方。用途別のスペック目安と確認方法
関連記事:画像処理を担うGPUとは?CPUとの違いや人気ゲームごとのおすすめ
OBSで配信するための準備
OBSで配信するためには、まずOBSと配信サイトのアカウントを接続しましょう。
アカウントの接続方法
OBSは配信サービスのアカウントを接続することで、OBS上で配信の設定から配信開始までスムーズに行えます。YouTubeやTwitch、Restream.ioなどの一部サービスでは、設定画面からアカウントにログインするだけで簡単にアカウントが連携可能になりました。
OBSの[設定]から左列の[配信]を選択し、[サービス]のプルダウンからアカウントを接続したいサービスを選択します。[アカウント接続(推奨)]というボタンが表示されている場合はそのまま画面の指示に従いログインし、連携を許可するだけでアカウントの連携は完了です。
YouTube
OBSからYouTubeに配信するには、YouTube画面の右上から通知マークの左にある[カメラ]ボタンをクリックし、[ライブ配信を開始]をクリックします。
ライブ管理画面がポップアップするので[後で]の段の[開始]をクリックし、[ストリーミングソフトウェア]を選択しましょう。次に、画面左列の一番上の[エンコーダ配信]をクリックします。
ライブ管理画面の[ライブ配信の設定](上画面の赤枠参照)からストリームキーが表示されている右にある[コピー]ボタンを押し、ストリームキーをコピーしましょう。
OBSで[設定]から[配信]に進み、プルダウンでサービスを選択したら、[ストリームキーを使用する(高度)]をクリックします。[サーバー]の下に表示される入力欄にストリームキーをペーストし、[OK]を押せば設定完了です。
Twitch
TwitchもYouTube同様、[アカウント接続(推奨)]ボタンがあるため、OBSからTwitchアカウントにログインし連携を許可するだけでアカウントを接続できます。
ストリーミングキーを使って接続する場合は、Twitchトップページから右上にある自身のアイコンをクリックし[クリエイターダッシュボード]へ移動します。[設定]から[配信]設定に移動し[プライマリストリームキー]をコピーしましょう。
OBS側の設定画面で[ストリームキーを使用する]をクリックし、[ストリームキー]にコピーした「プライマリストリームキー」をペーストし[OK]を押せば設定完了です。
OBSの画面説明
OBSの画面操作を行うために、まずは基本的な機能を見てみましょう。
シーン(画像①)
配信や録画に映る画面全体を指します。例えば、ゲームごとにカメラやゲーム画面、外枠などの配置を変えたい場合は、シーンごとに画面を作っておくと簡単に切り替えられます。
ソース(画像②)
シーンに映す映像や配信に乗せる音声などを個別に管理するのが「ソース」。表示/非表示の切り替えやソースを追加、画面内での配置を変えることもできます。
音声ミキサー(画像③)
各シーンで取り込んでいる音声がソースごとに表示されます。メーター下にあるタブを調節することで音量の調節が可能です。
シーントランジション(画像④)
シーンからシーンを切り替える場合のアニメーションが選択できます。
コントロール(画像⑤)
配信や録画などのコントロールを行えます。配信サービスとのアカウント連携が完了している場合は、[配信開始]の横に[配信設定]が追加され、タイトルやサムネイルなどを設定可能です。
[仮想カメラ]はOBSの画面をWeb会議ツールなどに映す際に使います。配信中にシーンを編集したい場合は[スタジオモード]を使えば、配信している画面を変えることなく編集できます。
OBS Studioに映像を写すには
OBSにゲームやカメラの映像を映す場合は、[ソース]タブ左下の[+]ボタンからソースを追加しましょう。外部のカメラの映像をOBSに映す場合は[映像キャプチャデバイス]を選択し、[デバイス]プルダウンメニューからPCに接続されているカメラを選びましょう。
OBSの起動後にカメラを接続した場合など、PCに接続しているカメラが[デバイス]に表示されない場合は、ポップアップメニューを一度閉じ、他のソースの選択してから再度[映像キャプチャデバイス]の[プロパティ]を表示すれば選択できるようになります。
PCゲームの画面をOBSに映したい場合(Windowsのみ)は[ゲームキャプチャ]をソースに追加し、ゲームのキャプチャ方法(画像①)を選び、[ウィンドウ]から起動しているゲームを選びましょう。
映像ではなく静止画や動画を表示したい場合は、ソース欄にある[+]ボタンから[画像(静止画)]や[メディアソース(動画)]を追加すれば、PCに保存されている画像や動画をソースとして追加できます。
外部カメラとゲーム画面を一緒に写すには
複数のソースを表示した場合、[ソース]タブの上から順番に表示されます。
画像のように、ゲーム画面の一部にカメラの映像を乗せたい場合は、[ソース]タブでゲーム画面(ここでは[画像])を下にして、その上に[映像キャプチャデバイス]を配置するようにしましょう。画面内での位置を変えたい場合は動かしたいソースをクリックし、画面内でドラッグすることで動かせます。四隅の赤い点をドラッグすれば大きさも変更可能です。
OBSでPCゲーム以外を配信・録画するには
OBSでSwitchやPS5、スマートフォンなどの画面を配信したい場合は、別途「キャプチャーボード」というデバイスが必要になります。「キャプチャーボード」は、ゲームやスマートフォン上の画像や音声データをパソコンに取り込むためのツールです。対応しているOSやデバイス、スペック、値段など幅広い選択肢があるため、自身の目的に合ったものを選びましょう。
PCとキャプチャーボードを接続したら、OBS上では[映像キャプチャデバイス]から接続しているキャプチャーボードを選択すれば画面がOBSに表示されます。[映像キャプチャデバイス]だけでは音声までは反映されないので、[音声キャプチャデバイス]からも接続したキャプチャーボードを選択する必要がある点には注意しましょう。
OBS Studioに音声を乗せるには
OBS上に音声を乗せたい場合はソースの[+]から[音声入力キャプチャ]を選びましょう。ソースを追加したらダブルクリックか[プロパティ]から入力する[デバイス]を選びます。複数の音声入力が必要な場合は、ソースごとに音声入力デバイスを増やしましょう。PC内部で再生されている音楽やDiscordなどの通話音声は、ソースを追加しなくても[デスクトップ音声]として音声が乗ってしまうため注意が必要です。
Discordなど通話アプリの音声を収録するには
Discordなどの通話音声をOBS上に乗せたい場合は、[デスクトップ音声]で収録するのがおすすめです。[デスクトップ音声]での音声収録は、PC側ソフト側の「出力」先とOBS側の「入力」元が同一になっている必要があります。デフォルトの設定ではOBS・Discordともに[既定]になっている場合がほとんど。ミキサーなどのソフトを使っている場合などは、どちらも同じものに統一しましょう。
まず、OBS側では[設定]から[音声]を開き、[デバイス]欄の[デスクトップ音声]が[既定]や接続しているミキサーになっていることを確認します。
Discord側でも[設定]から[音声・ビデオ]を開き、[出力デバイス]が[既定]もしくは接続しているミキサーになっていればDiscord側の音声がOBSに反映されます。試しに、YouTubeや音楽などを再生してみて、OBSの[デスクトップ音声]の音量ゲージが動いていれば設定は完了です。
関連記事:Discord(ディス コード)とは?ゲーマー以外にも広がるボイスチャットツール
関連記事:Discordの使い方は?画面の見方や便利機能
OBS Studioで実際に配信するには
配信サービスとのアカウント接続が完了していれば、OBSで配信の設定が可能です。OBSで配信をするには、[コントロール]の[配信の管理]から配信の設定を行いましょう。
[配信の管理]で[新しい配信を作成]を選び、タイトルや概要欄(説明)、公開範囲、カテゴリ、サムネイルなど配信に必要な設定を全て行います。画面下部のチェックボックスの[予約する]チェックが外れている場合は、[配信を開始]で即座に配信が始まってしまうため、慣れないうちは[予約する]にチェックを入れておくといいでしょう。必要な情報を入力したら[配信を予約する]をクリックします。
ポップアップが閉じるので、再び[配信の管理]から[既存の配信を選択](上画像参照)で、先ほど設定した配信を選択し[配信を選択して配信開始]を押しましょう。
[新しい配信を作成]の画面で[自動スタートを有効にする]にチェックが入っている場合、この時点で配信が開始されます。チェックを入れていない場合、OBSのメイン画面に戻るので準備が整ったら[今すぐ配信]を押しましょう。
[今すぐ配信]ボタンは、押してから反映までに少しだけ時間がかかります。反映されないと勘違いしてボタンを2回以上押してしまうと、配信開始とともに配信が終わってしまうため注意が必要です。
OBSで録画・録音したい場合
設定したソースを配信ではなく録画したい場合は[録画開始]を押しましょう。[録画開始]を押せば即座に収録が開始され、[録画停止]を押すまでの[シーン]が録画されます。ファイルの保存先やフォーマットは[設定]の[出力]から確認可能です。
OBSを用いて録音したい場合は、[録画]で保存したファイルを音声ファイルに変換する必要があるため、ご自身の環境で変換しやすいファイルで出力すると良いでしょう。
まとめ
各サイト上でも配信は行えますが、より細かく設定し配信の品質を上げるためには外部ツールの利用は必須といえるでしょう。OBSなら無料で利用できる上に録画なども行えるためおすすめです。
配信にはPCのスペックも大切ですが、何よりも大事なのは回線の品質。より高画質で配信したい、スムーズに配信したいという場合は回線の速度や安定した通信が必要不可欠です。ご利用中の回線に不安がある方は回線契約の見直しを検討してみてはいかがでしょうか?
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