ビジネスの場で活用が進む生成AI。時間のかかるプレゼン資料の作成も、AIを使えば手間なく作れます。ただ、生成AIサービスの数が多いので、どのサービスを利用すると効率的で利用しやすく質の高いアウトプットができるのか、など迷うこともあるかもしれません。
そこで今回はプレゼン資料に活用できるAIサービス5つを比較。無料プランで実際に利用してみた使用感などをレビューします。
※本記事で紹介したAIサービスの無料プラン内容や機能制限、利用条件は2025年12月時点の公式情報に基づいています。最新のプラン内容や利用条件・制限などは必ず各サービス公式サイト等でご確認の上、ご利用ください。
ライター:CLIP編集部
あなたにピッタリのインターネットは?
実際にAIでプレゼン資料を作ってみた
今回利用する5つのサービスは、Canva、Gamma、ChatGPT、Gemini、イルシルです。
この5つのサービスを比較するにあたり、なるべく結果にブレがでないよう、すべて無料プラン(トライアル)を利用してプレゼン資料を作成。プロンプトも全て同一のものを送り、スライドを生成してもらいます。
[送付するプロンプト]
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プレゼンで「生成AI」について説明します。下記URLの内容を参考に、プレゼン資料のたたき台を作成してください。
【参考URL】
【条件】
- 文章はすべて日本語で作成する
- ページごとに内容を区切るのではなく、全体の流れを意識した資料を作る
- 参考URLの内容をコピーするのではなく、分析した上でスライド資料としてまとめる
- スライドにはシンプルなグラフやインフォグラフィックを配置する
- ページ数は表紙やアジェンダを含め10ページ以内で作成する
- 発表者名:CLIP
- ファイル形式:pptx方式で出力
【デザイン】
- シンプルでビジネスの場にふさわしい色合い
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各サービスの使用感と比較検証結果
Canva、Gamma、ChatGPT、Gemini、イルシルのAI機能を活用し、プレゼン資料を作成した結果を、実際の成果物を紹介しながらレビューします。
1.Canva
Canvaでプレゼン資料をつくるにはまず新規作成から[プレゼンテーション]を選択。テキストボックスにプロンプトを入力し[デザインを生成]をクリック。1分ほどで10ページのスライドが出力されました(下画像)。

パッと全体を眺めると、指示通りシンプルな構成にまとまっているのが分かります。全体的にはよくまとまっているものの、細部に気になるポイントがいくつか見られました。まず、アジェンダのページが目次として機能していないのはマイナスポイントとして挙げられるでしょう。
また、スライド内の画像も同時に生成しているのですが、よく見ると読めない文字であったり、イメージに合っていない画像が……。


デザインがやや一辺倒に感じられ、全体的な文章量もやや少なめなのも目につきます。とはいえ、簡単なプロンプトでたたき台としては申し分ないスライドが生成できるのはCanvaの強みでしょう。
公式サイト:Canva
関連記事:「Canva」の使い方。手軽に画像編集できるオンラインデザインツール
2.Gamma
「Gamma」はスライド作成に特化したAIサービスです。チャットAIとは違い、プレゼン作成の前段階から親切な設計になっていました。

プロンプトを入れる前に、カードの枚数や日本語と語調、ページの縦横比率の指定が可能。まず、出力したいプロンプトを入力すると、各ページの下書きを生成してくれます。

その後、テキスト量やビジュアル、画像のアートスタイルなども個別に指定できるのはうれしいポイントです。さっそく各種項目を設定し、生成してみたところ1分もかからないうちに10ページのプレゼン資料が完成しました(下の画像参照)。

まず驚いたのが、その見やすさ! 細部の確認だけ済ませば即実用できそうなクオリティに舌を巻きます。生成されている画像やグラフも、統一感があり、文章とグラフのバランスも非常に見やすく配置されていました。さらには、生成されたスライドを直接かつ直感的に編集できるのも便利です。編集が終わったスライドは、PDFやPowerPoint、Googleスライドにそのまま出力可能と、とにかく生成から編集、共有まで一貫して使いやすいツールといえるでしょう。
資料を揃えたうえでの生成がおすすめ
完璧に思えるGammaですが、生成したスライドの内容には問題点がいくつか見当たりました。
見やすく配置されたグラフや説得力のある数値ですが、これらの内容はプロンプトで提示した参考URLのページには記述がないもの。数値や追記部分のソースに関しても明記はされておらず、参考サイトにない文章も多く記載されていました。

そのため、スライドのデザインとしてはもはや手を加える必要はなさそうなほど完璧ですが、あらかじめ信頼できるデータやグラフなどを用意したうえで利用するのがよいでしょう。そして生成された成果物は鵜呑みにするのではなく、しっかりチェックをして情報を確認・精査し、利用するようにしましょう。

公式サイト:Gamma
3.ChatGPT
チャットAIの代名詞とも呼べるChatGPT。文章のみならず画像生成もお手の物ですが、スライド作成はどうなのでしょうか? 上記プロンプトを打ち込んでみたものの、CanvaやGammaのようにスライドを即座に生成するわけではなく、文章形式での生成が返ってきました(下の画像参照)。

2025年11月現在のChatGPTではスライドの生成ができないとのこと。ただ、出力された返答の文章に対して、「上記内容をpptx形式のファイルにまとめてください」と追加でプロンプトを送ったところ、pptxファイルのダウンロードができました(下記画像を参照)。

画像を見ていただければ分かるとおり、ごくごくシンプルなスライドが生成されています。有志によるカスタムGPT(GPTs)には、スライド生成をうたったものもありましたが、結果は同様でした。ChatGPTでのスライド生成は、あくまで構想段階でのたたき台という利用に留めたほうがよさそうです。
関連記事:ChatGPTで仕事効率化術5選!実業務での活かし方も紹介
公式サイト:ChatGPT
4.Gemini
ChatGPTと双璧を成すチャットAI「Gemini」。各種Googleアプリとの連携が強みのGeminiでもスライド生成を試してみます。

読み込みに少し時間がかかったり、なぜか英語で生成されたりとトラブルが発生したものの、無事スライドが生成されました。

文字の配置や適宜画像やグラフも挿入されており、全体的なクオリティは申し分ないように見えます。全体的な配色も統一感があり、そのままでも十分使えそうな仕上がりです。文字量は少し控えめなものの、要点はしっかり抑えており、プレゼン資料としては問題なく使えるうえに見やすいスライドが生成されました。
ただプロンプトで指定した参考URLのページにない情報が追加されているのが惜しいポイント。

プロンプトの送り方やスライドに盛り込む資料・情報をすべて渡すなど、利用するには少し工夫が必要でしょう。
5.イルシル
「イルシル」はスライド作成に特化したAIサービスです。

「構成をつくって生成」を選ぶと、チャット画面に切り替わりました。タイトルを入力し、使用したいメモとして上記のプロンプトを入力します。



ページごとのタイトルや内容のチェックが終わり次第、スライドの生成を開始。生成されたスライドを見ると、各ページのまとまりがよく、内容ごとに見やすくまとまっています。生成が終わった画面はブラウザ上で扱える編集ツールとなっており、細かい部分まで調整できます。スライド内の画像を変えたい場合は、クリックするだけで差し替え可能と操作も直感的。ダミーオブジェクトへの置き換えもできるため、たたき台の作成にはもってこいかもしれません。[デザイン]の項目からは、スライド全体の色味やボックスの枠線なども細かく変えられます。テンプレートを利用すれば、内容は変えずにページのレイアウトを変更できるのも便利なポイントでした。

肝心の内容を読んでみると、プロンプトで提示した参考URLのページにある情報はある程度記載があるものの、大きく外れた内容も記載されていました。後半がよりビジネスを想定したようなまとめ方になっている点も、他サービスとの違いといえるでしょう。「スライド作成を1からお任せしたい」という人よりも、たたき台の作成や生成途中での指示なども含め、サポート程度にAIを活用したい方におすすめのサービスです。
また、無料プランではスライドの生成までは行えますが、共有方法はスライドのURLのみ。pptx形式やPDFでの出力は有料プランでないと行えないので注意しましょう。
まとめ
今回は、5つのサービスにたたき台としてプレゼン資料のスライドを生成してもらいました。プレゼン資料作成に特化していることもあり、使いやすさやクオリティに関しては「Gamma」や「イルシル」が希望に近い内容を出力してくれました。しかし、スライド生成以外の機能や無料で利用できる範囲を考えると、現状では「Gemini」が使いやすいと感じました。
ただし、どのサービスにも当てはまることですが、成果物をそのまま鵜呑みにするのではなく、内容をしっかりと精査・確認したうえで、あくまでもたたき台として活用するのがよいでしょう。
そしてAIサービスを利用するなかで、大切なのが通信環境。不安定な通信環境では、生成中に接続が切れてしまい、イチからやり直しというケースも考えられます。もしお使いの通信環境に不安がある場合は、回線契約の見直しを検討するのもおすすめです。
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