AI時代の基礎教養:AIリテラシーが注目される理由は?

ChatGPTなどの対話型生成AIサービスが登場するなど、目覚ましい発展を遂げるAI。近年では、AIが生成する文章や画像、動画などが日常生活やビジネスのさまざまな場面で活用されるようになり、生活に浸透しています。一方でAIの使用には思わぬトラブルやリスクが潜んでいます。 AIが身近な存在になった現在だからこそ、AIを正しく使うための基礎教養『AIリテラシー』の重要性が高まっています。

今回は、AIを使う際に潜むリスクとAIリテラシーの概要などを解説します。

ライター:CLIP編集部

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まず知っておきたい「AIリテラシー」とは?

そもそもリテラシーとはもともと「読み書き能力」を意味しており、転じて「特定の分野に対しての知識やそれを活用する能力」を指す言葉として用いられています。「AIリテラシー」とは、簡単にいえば「AIを理解し、適切に使いこなす力」のこと。日本の省庁などで明確に定義づけされているわけではありませんが、MicrosoftやGoogleなどの企業や団体ごとに大まかな枠組みが定められています。統一した規格や定義ではないものの、「AIリテラシー」として「AIについての仕組みや限界の理解」「プライバシーや倫理」などが共通しています。

「AIリテラシー」が必要な背景

プライベートに仕事にと、私たちの生活に浸透しつつあるAI技術。写真の加工がすぐにできたり、面白い動画を作れたり、AIに代替できる業務なども増えていくことが予想されます。

「AIリテラシー」とは、AIを道具として正しく使えるようになることです。AIリテラシーが低いままでAIを利用するとAIに機密情報や個人情報を読み取らせてしまったり、既存の著作物に類似した画像などを生成して著作権を侵害してしまったりと、トラブルでは済まされない事案が発生してしまうかもしれません。大きな事故ではなくても、AIが生成する偽情報に騙される、AIに任せきりで責任の所在が分からなくなるなど、小さなリスクも潜んでいます。AIを賢く使うためには、AIの仕組みや強み/弱み、AI活用で起こり得るトラブルなどをしっかりと把握し、AIリテラシーを高めていく必要があるのです。

身に着けたい「AIリテラシー」

身に着けたい「AIリテラシー」

では、実際に「AIリテラシー」を身につけるには、どのような意識や知識が必要なのでしょうか? 今回は必要最低限な範囲で「AIリテラシー」を高める方法を5つ紹介します。

1.AIは賢いけれど完璧ではない

「晩御飯のレシピ作成」から「専門用語の解説」や「プログラミング」のような専門性の高い分野まで、質問には何でも答えてくれる対話型生成AIサービス。質問に合わせて、まるで専門家のように理路整然とした回答は、真実味にあふれているように感じます。
しかし、いくら説得力があったとしてもAIの回答をうのみにするのは危険です。AIの回答はあくまで「学習したデータ」に基づくもの。インターネット検索を参考にした場合でも、学習元のデータが間違っていることも十分に考えられます。また存在しない文献を参考文献として提示したり、全くの嘘を回答してくるケースも多くあります。AIに対する指示(=プロンプト)で、ある程度避けることもできますが、確実性が低いのが現状です。AIを利用する際は「必ず正しいわけではない」という事実を念頭に、利用するよう注意しましょう。あくまで作業や下調べ程度の利用にとどめ、最終的には人の目でチェックするよう心がけることが大切です。

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2.AIの仕組みを理解する

生成AIは、膨大なデータから言葉やパターンを学習し、入力された質問や指示に対して“もっともらしい”回答を自動的に作り出します。そのため、AIは「必ず正しい答え」や「唯一の正解」を返すわけではなく、ユーザーが満足しそうな答えや自然な文章を優先して提示する場合がある点を理解する必要があります。
対話型AIは、利用を進めるなかで利用者の特性を分析し、間違ったことでも「回答者が満足する回答」を提示することも多くあります。さらに学習データに誤りがあったり、質問の仕方によっては、間違った情報や根拠のない回答(いわゆる“ハルシネーション”)が返ってくることもあります。AIは「絶対的に正しい辞書」ではなく、提供する情報の質や量に対して回答の内容が変わるという点は、しっかり意識したうえで活用しましょう。

3.データ・プライバシー・倫理の視点を持つ

正しい回答をAIに求める場合は、正しい情報を与える必要があります。「正しい情報を渡す」とはいえ、情報の取り扱いには十分な注意が必要です。多くのAIサービスでは、ユーザーが提供したデータを学習データとして記憶しています。外部への流出を防ぐためにも、AIに渡す情報はしっかりと確認しましょう。
SNSを中心に、インターネット上では既存のコンテンツと酷似したAI生成画像や動画を見かけることが多いかもしれません。AIを扱う上で権利関係の視点を持つことも大切です。著作権法30条の4によると、原則として機械学習への著作物の利用は著作権侵害にあたりませんが、出力された生成物に関して「類似性」と「依拠性(既存の著作物に基づいて創作すること)」が認められた場合は、著作権侵害の責任が問われる可能性もあります。利用するサービスと関連法規のチェックは必ず行い、そもそも類似性が疑われるようなデータの利用は避けましょう。

4.AIについて理解している人に相談する

目まぐるしく進化を遂げるAIでは、一カ月前の情報が古くなってしまうということもしばしば。個人で情報を追うのが難しくなった場合は、理解が深い人との交流や相談を重ねるのもおすすめです。

5.AIツールを積極的に試してみる

AIがどういったものか頭で理解しようとしても、専門的な知識が多く、取っ付きづらいと思う方も多いかもしれません。業務などで本格的に利用する前に、まずはプライベートなどで自身で積極的にAIツールを利用してみるのもおすすめです。

AIツールを積極的に利用して、特徴を知ろう!

AIツールを積極的に利用して、特徴を知ろう!

AIについての知識を広げたい場合、座学ももちろん大切ですが、積極的に利用するのが近道かもしれません。

「ChatGPT」や「Gemini」などの対話型の生成AIサービス以外にも、多種多様なAIを利用したツールが頒布・販売されています。利用したい領域に近いものや、全く興味がなかった用途などでも「習うより慣れろ」の精神でAIを使い倒してみましょう。

AIを使う体験が重なれば、「これはAIでつくられたものかも?」といった検証の視点も鍛えられるはず。生成AIのアップデートはとても速く、少しの変更で仕様や挙動が変わってしまうこともしばしば。使ってみる上で日頃から最新情報を収集する癖をつけておくことも大切です。まずは、日常の調べ物などでAIを利用してみて、自分で調べた結果との比較から始めてみるのもおすすめです。

当サイトでも、ChatGPTやGeminiなど、AIに関する情報を複数掲載しているので、AIサービスをご利用の際、参考にしてみてください。

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まとめ: “リテラシー”が大切な時代へ

プライベートに業務にと、生活に欠かせない存在になりつつあるAI。
私たちを上回る知識や思考力に驚くこともあるかもしれませんが、現段階では完璧な存在ではありません。AIを道具として賢く活用できる近道こそが「AIリテラシー」です。AIはあくまで道具として考え、最終的なチェックや判断は人間が行えば、AIに振り回されることも少なくなるのではないでしょうか。


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