【前編】子供にスマホを持たせる前にできること……セキュリティ会社に聞いてみた

お子さんにスマホを持たせる、もしくはスマホを貸している保護者の方は多いのではないでしょうか。ゲームやSNSなど、子供にとってインターネットはより身近な存在になっています。
またオンラインでの勉強も増えており、子供にとってスマホは無くてはならない存在になっているのではないでしょうか。

しかし、保護者にとっては「利用時間を制限するにはどうすればいい」「決めなきゃいけないルールって?」「万が一、トラブルに巻き込まれたら……」と心配のタネになっていることでしょう。

そこで今回は、保護者の皆さんが漠然と抱えている不安や懸念を解決する手助けをしたいと思い、ネットのセキュリティサービスを提供する「トレンドマイクロ」にお話をお聞きしました。
この記事を参考に、お子さんが安全にスマホを使えるよう、親の意見を押し付けるのではなく、子供と一緒に話し合ってみてはいかがでしょうか。

ライター:CLIP編集部

スマホで広がる世界と遭遇する危険

スマホを使うことによって、電話やメール以外にも、動画や音楽の鑑賞、情報の検索、ゲーム、勉強と様々なことがオンライン上で可能になります。子供にとってスマホ利用は、テクノロジーに触れる最初の一歩になるのです。

しかしその一方で、大人や知らない人が混在するネットの世界へと子供は飛び込むこととなります。ネット上では現実と同様に犯罪者が存在するため、犯罪やトラブルに巻き込まれる可能性もあるのです。

スマホを使うことで遭遇するかも知れない危険の代表的な7つの例をご紹介いたします。

1.ネットの出会い

ネット上には世界中から数えきれないほど大勢の人がアクセスしています。ネットを通じて知らない人と簡単に繋がることができるのですが、相手のことを簡単に信用してしまい、実際に会い犯罪に巻き込まれてしまった事例がたくさんあります。
もちろん、異なる文化圏の人とコミュニケーションを取ることは知見を広げる上でメリットになりますが、それ以上に危険が多く存在しているのです。

2.アプリ内課金

子供は競争心を煽られやすく、物事の判断が甘くなってしまうことが多々あります。特にゲームはもともと競争をするように作られているため、課金しすぎてしまう懸念があります。
実際、保護者のクレジットカードやキャリア決済を無断で使用して、知らない間に高額の請求が届くケースが発生しています。

3.スマホ依存

スマホは連絡ツールとしてはもちろん、ゲームや動画・音楽など娯楽ツールとしても優秀なデバイスです。しかし面白すぎるがゆえに、依存してしまい日常生活に支障をきたすケースが少なくありません。
睡眠不足をはじめ、生活習慣が乱れると学業や健康面に支障が出る可能性があるので、注意する必要があります。

4.SNS投稿による意図しない情報漏洩

SNSはそのほとんどが、世界中の誰もが自分の投稿を確認できるオープンなツールとなります。そのため公開範囲を制限していないと、意図しない相手に個人情報を晒してしまう可能性があるのです。
航空券の画像を上げたところ、そこに映っていたQRコードを読み取られ、名前などの情報が流出してしまった事例がありました。
また友人と一緒に映った画像を投稿する場合も注意が必要です。本人の許可なくネットに上げてしまった結果、想定外のトラブルに発展する可能性があります。

5.アカウント乗っ取り

アカウントのIDとパスワードを盗み取られてしまい、各種サービスのアカウントを不正利用される事例が多くでています。
さらに一つのIDとパスワードを使いまわしていると、一つのアカウント情報が流出しただけで、その他全てのアカウントが乗っ取られてしまった事件もあります。

6.不正サイトへの接続

フィッシングサイトやワンクリック詐欺といった、不正なサイトがネット上には存在します。その多くはメールやSNS、SMSで送られてくるものが多く、個人情報やクレジットカード情報などが抜き取られてしまいます。
特にスマホでアクセスしてしまった場合は、URLが常に表示されないので気付かずに入力をしてしまうケースが発生しています。

7.不正アプリの感染

App Storeで配布されていた不正アプリ(注:正規アプリ「こつこつ家計簿-無料で簡単人気のカレンダー家計 簿」とは別のものです。)
図:App Storeで配布されていた不正アプリ(注:正規アプリ「こつこつ家計簿-無料で簡単人気のカレンダー家計 簿」とは別のものです。)
Google Playで確認された不正なカメラアプリ
図:Google Playで確認された不正なカメラアプリ

端末内部に入り込み、様々な不正行為を働くアプリが存在しています。もしダウンロードしてしまうと、遠隔操作をされてしまったり、不正サイトへ誘導されて被害に遭う危険性が高まります。
不正アプリは正規のアプリに偽装することも多く、数年前に『ポケモンGO』が流行ったとき、正規版では要求されない、デバイスの管理者権限を要求するなど、偽装した複数のアプリが出回りました。その結果、デバイスを遠隔操作され不要なアプリを勝手にダウンロードされたり、偽サイトへ誘導されてユーザー情報を抜き取られるなど、多くの被害者がでました。

子供を守るため、まずはネットの危険性を教える

それでは、前述の例のような危険から子供を守るために何が必要になるのか。
第一に、スマホの危険性をしっかりと教育することです。

1.ネットの出会い

ネット上では、年齢や性別を簡単に偽ることができるので、子供が連絡している相手のことを見抜くことは不可能に近いです。なので、ネットで知り合った人は基本的には連絡を取らない・合わないように指導しましょう。
万が一、やりとりをしたいのであれば、事前に保護者へ相談するようにさせてください。

2.アプリ内課金

しっかりと、スマホ上での買い物でも実際のお金が必要になることを教えておきましょう。
もしアプリを購入したり、追加で料金の支払いが必要な場合は、「必ず保護者に相談する」「月いくらまでならOK」などのルールを決めておきましょう。

3.スマホ依存

生活習慣が乱れてしまうと体調を崩しやすくなってしまう可能性があります。ただ単に「スマホの使いすぎは悪い」と伝えるのではなく、「使いすぎて体を壊したらお友達と遊べなくなる」などお子さんが大切にしていることが出来なくなると教えてあげましょう。

4.SNS投稿による意図しない情報漏洩

個人情報をむやみに公開しないようにしておきましょう。
写真や動画を投稿するときは、「本当にネット上で共有する必要があるのか」を考えるように指導を。友人や知人が投稿内容に入ることもあるので、しっかりとプライバシーへの配慮についても教えておくことが重要です。

5.アカウント乗っ取り

簡単なパスワードを使用していると、スマホを乗っ取られて、自分だけではなく家族やお友達の情報を抜き取られて、事件に巻き込まれる可能性があることを教えてあげましょう。
全てのことに言えることですが、自分一人ではなくいろんな人が困ってしまうのが、ネット社会の怖い部分なのです。

6.不正サイトへの接続

Facebook上に表示された偽装広告
図:Facebook上に表示された偽装広告
偽装広告から誘導していた偽サイト
図:偽装広告から誘導していた偽サイト

このような詐欺を行う犯罪者は流行に敏感。
技術がどんどん進化していくことはもちろん、世間で話題になっているダイエット方法や人気のアプリの攻略法といった、「ちょっと気になるかも」と思わせるような情報で誘ってきます。
ちょっとでも「あやしい」と感じたら、メールの文章が名乗る企業が公表する注意喚起情報をチェックする習慣をつけさせるのもいいと思います。

7.不正アプリの感染

まずは、ネット上に表示されているものを不用意にタップしないように教えましょう。
人気のゲームを名乗っるメールやSNSが届いたとしても、まずは疑ってかかること。アプリをダウンロードする場合は、「Google Play」や「App Store」、通信事業者の公式アプリストアを利用するように指導をお願いします。
上記のようなマーケットでは、事前の審査があるため、不適切なアプリを排除してくれています。
ただし公式アプリストアであっても、不正アプリが紛れ込んでいる可能性があるため、事前にレビューをきちんと読んだり、アプリ名や開発元をネットで検索したりするなどして、インストールしたいアプリの評判を事前に調べる習慣をつけましょう。

Android OSの場合

Android OSの場合

iOSの場合

iOSの場合
図:SMSにて新型コロナウイルスに便乗するURL付きメッセージが送られて、URLをタップした先の誘導先。端末に応じて誘導先を変更(2020年2月確認)

また保護者側も人気のアプリや流行っている詐欺の手口など、最新情報を取得する努力をしましょう。
自分がわからないことを子供に教えることはできません。お子さんを守るためにも、ITリテラシーを高めていきましょう。

さらに安全を確保するために、サービスを活用する

ネットに対する教育ができれば、次は技術の面でお子さんを守りましょう。
前述した7つの例をもとに、どんなテクノロジーやサービスがあるのか、親子のネット教室などを開催するセキュリティ会社〈トレンドマイクロ〉の方に詳しく解説していただきました。

1.ネットの出会い

不審な人物との繋がりを阻止するために
ペアレンタルコントロールやフィルタリングサービスを活用しましょう

各OSやキャリア、セキュリティ会社が提供しているサービスで、お子さんのWEBサイトのアクセス、アプリの使用を制限することができます。
アプリごとに細かく設定することができますので、詳しくはサービスを提供している各事業者の公式サイトなどをご確認ください。

2.アプリ内課金

無断での買物・課金を阻止するために
ペアレンタルコントロールやフィルタリングサービスを活用しましょう

こちらも先ほどと同じサービスで防ぐことができます。
まずはOSの機能をしっかりと把握して、何を活用すればいいのかを理解しましょう。

App Storeの場合は、「承認と購入のリクエスト」機能を使い、お子さまからの購入リクエストを保護者の端末へ送信。お子さまと一緒に居なくても管理することができます。
さらには、スクリーンタイムを使って、アプリ内課金そのものを無効にしておくことも可能です。
https://support.apple.com/ja-jp/HT204396

Google Playの場合は、ファミリーグループの設定をしていたら、ファミリーメンバーがコンテンツの購入・ダウンロードする際に、保護者アカウントへ承認を受けなければできないように設定が可能です。
https://support.google.com/googleplay/answer/7039872

3.スマホ依存

スマホばかりに没頭しないように
ペアレンタルコントロールやフィルタリングサービスを活用しましょう

上記のサービスには、アプリの利用時間や時間帯を制限する機能があります。
使用を始めてから一定時間が過ぎたら、本体にロックがかかるよう設定することで、メリハリのあるスマホとの関わり方を学ぶことができるでしょう。
しかし、時と場合によっては制限を解除することも考えなければなりません。
実際に、友人とゲームをしていて突然シャットダウンしてしまったケースがあるので、そういった場合は全てを拒絶するのではなく、事前に相談させてしっかりと話し合って決めることが重要です。

4.SNS投稿による意図しない情報漏洩

見知らぬ人に個人情報を知られないように
アカウントの公開設定をカスタマイズしましょう

各種SNSは、プライバシーやセキュリティ保護のための機能を提供しています。
記事を投稿する際にどこまで、どの人に公開をするのか、しっかりと限定しましょう。
またお子さまが利用しているアプリを理解するようにして、どのような情報を発信する危険性があるのかを把握して、教育面でもサポートしてあげましょう。

Instagram
https://www.facebook.com/help/instagram/196883487377501

TikTok
https://support.tiktok.com/ja/using-tiktok

5.アカウント乗っ取り

各種サービスのアカウントを盗られないように
パスワード管理ソフトを活用しましょう

先に記載した通り、同一パスワードを複数のアカウントで使っていると、一つ流出しただけで複数のアカウントが乗っ取られる可能性があります。
そのため、サービスごとに異なるIDとパスワードの組み合わせを使用する必要があります。アルファベットの大文字、小文字、数字をランダムに組み合わせて、推測されにくいパスワードを設定しましょう。
しかしそうなると管理が難しくなります。そこで活用したいのが「パスワードマネージャー」。複雑に設定したIDとパスワードを一括管理して、マスターのパスワードを覚えておくだけで、自動で入力してくれる優れものです。

パスワードマネージャー
https://www.trendmicro.com/ja_jp/forHome/products/pwmgr.html

6.不正サイトへの接続

個人情報やクレジットカード情報を守るために
セキュリティソフトを活用しましょう

不正サイトへの接続をブロックしてくれるセキュリティソフトを導入しましょう。

また先に記載したように、SNSやメールで突然連絡が届きます。
大手の企業や人気アプリを偽っている可能性があるので、その場合はWEBブラウザを立ち上げて検索、もしくは自分のお気に入り登録からアクセスするようにしましょう。

7.不正アプリの感染

スマホをウイルスから守るために、
ウイルスバスターを活用しましょう

不正アプリの検知・駆除を行ってくれるセキュリティアプリを活用しましょう。
様々なアプリがありますが、不正アプリを配布するサイトへの接続を防いだり、インストールするアプリの安全性をチェックしてくれるものを選ぶのがおすすめです。

まとめ

スマホを使うことで起こり得る危険と、回避するための教育&技術をまとめてみました。あくまでも一例ではありますが、いかがだったでしょうか。
いくつかは気にしていたけれど、その全ての対策をしていた方は少ないのではないでしょうか。

それでは今回はここまでにして、次回はより具体的にお子さんと何を話し合えば良いのか、スマホを使うルールや万が一の対応についてお話しできればと思います。

後編はこちら


今回お話をお伺いしたトレンドマイクロでは、セキュリティソフトやパスワードマネージャーなど、インターネットのトラブルから身を守るための様々なサービスを提供しています。
気になった方はこちらから確認してみてはいかがでしょうか

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。掲載日以降に内容が変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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