最近耳にすることが増えた「ChatGPT」や「Bard」などの対話型AIツール。その性能は今どこまで進歩しているのでしょうか。この記事では、上記の主要対話型AIそれぞれの概要を簡単にまとめ、同じ質問を投げかけた時の回答を比較します。
ライター:CLIP編集部
時代を牽引する対話型AIについて
対話型AIとは、ユーザーと対話形式のやり取りができる人工知能のことで、主にチャットボットや仮想エージェントなどを指します。
対話型AIはインターネット上にある膨大なデータを用いて、機械学習や自然言語処理を行い、人間のコミュニケーションを模倣します。それにより質問に答えたり、人間のように会話したりすることが可能に。今では感情を理解しているようなやり取りもできるようになっています。
今話題の対話型AI 3選
2023年の今、最も注目を集めている対話型AIを3つ紹介します。
1.ChatGPT
「ChatGPT」はアメリカのOpen AI社が開発した、人工知能を用いたチャットサービスです。2022年11月に公開されてから回答精度の高さが話題となり、リリースからわずか5日間で100万人のユーザーを獲得。2023年2月にはユーザー数1億人を突破し、5月にはiOS版のアプリもリリースしています。今ではMicrosoft OfficeやGoogle Workspaceの拡張機能としても活躍。
無料版と月額20ドルの有料版があり、有料版は最新のデータを取り扱っていますが、無料版で利用されているデータは2022年1月分まで。また、利用回数の制限にも違いがあります。
・関連記事:ChatGPTとは?AIチャットアプリでできること、注意点
・関連記事:ChatGPTとGoogleスプレッドシートを連携。作業効率化の方法
2.Bard
Google社が開発した対話型AIサービス「Bard」は、2021年に公開した言語生成 AI「LaMDA(ラムダ)」が利用されています。そのため、2022年のリリース時点で膨大な量のテキストとコードによるトレーニングがされており、テキスト生成、言語翻訳、その他さまざまなクリエイティブコンテンツの作成が可能となっていました。また「Bard」は回答生成後に「他の回答案を表示」をクリックすることで、他の2つの回答を確認できます。合計3つの回答から好みの回答を選んで進められるのも魅力のひとつです。
「Bard」は2023年現在、日本語を含む 40 以上の言語で試験運用として無償提供されています。
3.Bing
「Bing」はマイクロソフトが開発した、Microsoft Edgeにおけるデフォルト検索エンジンで、全文検索のほか、画像、動画、ニュース、地図の検索ができます。「Bing」の歴史は「ChatGPT」や「Bard」よりも古く、「MSN サーチ」や「Windows Live サーチ」、「Live サーチ」などの名称で2009年から日本語版サービスが開始。そこに2023年2月、ChatGPTと同じ最新言語モデル「GPT-4」を使用した、AIチャット機能が搭載されました。
「Bing」の回答パターンは、正確性は低下するものの想像力に富んだ回答が期待できる「より独創的に」と、正確性を重視した簡潔な回答が得られる「より厳密に」、正確性と独創性のバランスを考慮した回答が得られる「よりバランスよく」の3種類。初回アクセス時は「よりバランスよく」に設定されています。
3つのAIにいろんな質問をしてみた
「ChatGPT(無料版)」「Bard」「Bing」に4つの同じ質問をし、その回答を比較します。
「Bard」と「Bing」の回答パターンはそれぞれ3種類あるため、「Bard」は最初に表示された回答。「Bing」は「よりバランスよく」で得られた回答を比較対象とします。
どの対話型AIも回答はその時々によって変化します。同じ質問を同じAIに投げかけても回答は異なるので、気に入った回答履歴は残しておきましょう。
質問1「1週間分のバランスの取れた献立を考えて」
「ChatGPT(無料版)」の回答
「Bard」の回答 (※一部割愛しています)
「Bing」の回答
このお題では「ChatGPT」が1日3食を1週間分、「Bard」は作り方が記載されているサイトに移動できる画像付きで、1日1食を1週間分提案。また「Bard」の場合は回答が気に入らないときは別の2つの回答を選択でき、それぞれの回答で使用する野菜なども具体的に提案されていました。「Bing」は献立例が掲載されているWebサイトへ誘導するという結果に。
「Bing」では回答パターンを「より創造的に」などへ変更することで、以下のようにもう少し細かい回答も得られます。
質問2「健康でいるために必要なこと、気をつけることは?」
「ChatGPT(無料版)」の回答
「Bard」の回答
「Bing」の回答
「ChatGPT」は広く回答する一方で、「Bard」は回答を食事·運動·睡眠の3つに絞りそれぞれについて具体的な目標値を用いて詳しく説明。「Bing」は要点を押さえ、情報の引用元を明記しています。
質問3「次のWebページを要約して」
要約するWebページはこちら。
・要約記事:小さなスティック型SSD「M.2 SSD」とは
「ChatGPT(無料版)」の回答
「Bard」の回答
「Bing」の回答
無料版の「ChatGPT」では指定のWebページを要約できませんでしたが、代わりに該当ページで取り上げているテーマについて、一般的な情報をまとめてくれました。
「Bard」は箇条書きや表を用いて簡潔に要約。
「Bing」は要約内容こそ合っているものの、参考として挙げられた4つのサイトに指定したWebページが含まれていないため、「ChatGPT」のように該当ページのメインテーマを別のWebサイトを用いて調べた可能性があります。
質問4「ChatGPT、Bing、Bardで一番優秀なのは?」
「ChatGPT(無料版)」の回答
「Bard」の回答
「Bing」の回答
こちらはどれも「用途による」という回答に。それぞれ各対話型AIの特徴や、用途別の適性をまとめてくれています。
まとめ
最後の質問で明らかとなったように、「対話型AI」と一括りにしてもそれぞれ何を目的として開発されたかが異なるため、利用目的によって適性が存在します。
それを踏まえ、今回の調査結果から筆者が感じたおすすめの使い分けは、以下の通り。
- 「ChatGPT」:人間らしい文章を生成したいとき
- 「Bard」:最新情報を基にした細かい情報をすぐに知りたいとき
- 「Bing」:情報の根拠となる参考サイトも知りたいとき
2023年11月現在、これらの対話型AIの利用にはインターネット環境が必須です。回答が長文になる場合や、質問内容が高度な場合は通信速度が遅くなることもあるので、今のインターネット環境に不満のある方は、利用前に回線を見直しておきましょう。
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