音楽生成AIの実力とは?作曲ツール「Boomy」を使ってみた

ここ数年間でさまざまなAIサービスが登場し、今では楽曲制作まで可能に。今回はそんな便利なサービスがどのような形で普及しているのか、また3つの主要AI作曲ツールを紹介し、その中から1つを実際に使用してみます。

ライター:CLIP編集部

AI作曲について

AI作曲の活用例

近年AI作曲ツールはあらゆるところで活用されています。まずはその事例の一部を紹介します。

AIによる校歌

三重県桑名市で2026年4月開校予定の小中一貫校「市立多度学園」。なんと校歌をAIで作曲すると発表しています。その具体的な方法は、地元の子供や保護者たちから校歌に盛り込みたいキーワードを募集し、それをAIに学習させ歌詞を作るというもの。最後に人の手で編曲作業を行うようです。

参考記事:https://www.yomiuri.co.jp/national/20230823-OYT1T50295/

Amper Musicが作曲した「Break Free」

現在世界最大級の画像提供サービス「Shutterstock」に統合されている音楽生成AIサービス「Amper Music」。アメリカのシンガーソングライターでYouTuberのタリン・サザンは統合前のAmper Musicを用いて作曲した曲「Break Free」を2017年にYouTubeにアップロードしています。2023年9月現在の総再生数は227万回以上です。

参考記事:https://www.youtube.com/watch?v=XUs6CznN8pw

Flow Machinesが作曲した「Daddy’s Car」

2017年に発表され、2023年9月の総再生数302万回を誇る「Daddy’s Car」もAIによって作曲された有名な曲のひとつ。この楽曲の制作にはソニーコンピュータサイエンス研究所が開発した、豊富な楽曲データベースから「特定の歌手の共通点」を抽出して作曲するAIソフトFlow Machinesが用いられています。

参考記事:https://www.youtube.com/watch?v=LSHZ_b05W7o

今後のAI作曲活躍の場

現状、AIによって作られた曲は著作権を侵害している可能性があります。特に特定の歌手や曲を真似て作ったものは著作権侵害に当たるリスクが高いので要注意。今は個人的な利用に留めておくと安心です。
今後この著作権問題が明確にクリアされれば、会社のPR動画や広告動画、YouTubeなどでより積極的に活用されるかもしれません。

主なAI作曲ツール

SOUNDRAW

2020年からサービスを開始した「SOUNDRAW」は、AIによって無数に生み出されるフレーズを組み合わせて、楽曲の尺や構成、楽器、テンポなどを自由にカスタムすることによって、オリジナル楽曲を簡単に制作可能。
またその曲をカスタマイズできる機能があり、AIと手動の組み合わせでオリジナル性の高い楽曲作成ができます。

Boomy

専門知識を持たない初心者でも数秒で作曲できる「Boomy」は、作った曲をさまざまなストリーミングサービスへ簡単に送信できるのが魅力。自分の曲を世界中の方に聞いてもらいたい方におすすめです。

Mubert

2016 年にロシアで設立され、現在世界中に 100 万人以上のユーザーがいるとされている「Mubert」 は、曲の長さや雰囲気、スタイル、ジャンルを指定したり、テキストプロンプトでの作曲が可能。YouTubeをはじめとした、あらゆるプラットフォームのコンテンツに合わせたトラックを瞬時に作成することができます。

Boomyで作曲してみた

まずは「Boomy」のWebサイトからサインアップを行い、アカウントを作成しましょう。

Webサイトからサインアップを行い、アカウントを作成しましょう
Webサイトからサインアップを行い、アカウントを作成しましょう

アカウントができたらサインインし、「Create」のタブから作曲が行えるようになります。
作曲をする時はまず好きなスタイルを選択。次のページでジャンルを選び「Create song」をクリック。

「Create」のタブから作曲が行えるようになります。
次のページでジャンルを選び「Create song」をクリック。

しばらくすると曲が完成します。これだけでも充分ですが、自身で手を加えたい方は「Rewrite」や「Rearrange」、「Instruments and Sounds」を操作します。

しばらくすると曲が完成します。

「Rewrite」では、生成された曲のスタイルやテンポの変更ができます。

「Rewrite」では、生成された曲のスタイルやテンポの変更ができます。

「Rearrange」では曲全体を複数のセクションに分け、それぞれのセクションの複製や削除、入れ替えが可能。

「Rearrange」では曲全体を複数のセクションに分け、それぞれのセクションの複製や削除、入れ替えが可能。

使用している楽器の変更は「Instruments and Sounds」で行います。ここでは楽器の設定以外にも効果音が入れられます。この設定は原曲がわからなくなるほど大きな変化が加わる可能性があるので慎重に行いましょう。

使用している楽器の変更は「Instruments and Sounds」で行います。

作った曲に声を入れたい時は「Add vocal」をクリック。すでに持っているデータをアップロードする以外にも、その場で録音もできます。

作った曲に声を入れたい時は「Add vocal」をクリック。

理想の曲が完成すれば、「New Song by New Artist」と記載されているところをクリックし、好みのタイトルとアーティスト名に書き換えましょう。

「New Song by New Artist」と記載されているところをクリックし、好みのタイトルとアーティスト名に書き換えましょう。

その後1つ画面を戻し、「Save」をクリックすればオリジナル曲の完成です。保存した曲は「Library」タブから聞くことができます。

「Save」をクリックすればオリジナル曲の完成です。

Boomyでは「Create」タブの「Release」から、作った曲をさまざまなサイトに簡単にアップロードできます。しかし、作った曲が著作権侵害に当たらないという保証はできないので、リリースを検討されている方は細心の注意を払いましょう。

まとめ

エンタメ業界を中心にAI作曲は着実に広がりを見せています。何より魅力的なのは、作曲に関する専門知識を必要としないこと。これまでに作曲経験のない人でも気軽に、感覚的に「作曲」を楽しむことができます。記事を読んで興味を持った方は、自宅のインターネット環境を整え、まずは個人的な利用からAIの力を試してみてはいかがでしょう。


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