完結編が夏公開。『ジュラシック・パーク』29年前の超絶CGは独断専行が生んだ

今でこそ当たり前のように目にするCG(コンピュータ・グラフィックス)ですが、1990年代に巨大な恐竜を丸ごとCGで表現する偉業をやってのけたのが映画『ジュラシック・パーク』。ティラノサウルス・レックスの大迫力に、多くの観客が度肝を抜かれました。スティーブン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』は監督自身の『E.T.』の興行収入1位を塗り替え、世界で10億ドル超えの大ヒット。

ヒットの立役者ともいえる恐竜のCG表現はどうやって生まれたのか。Netflix『ボクらを作った映画たち』を観てみると、そこには独断専行の挑戦があったことが分かります。

ライター:平田提

Netflix『ボクらを作った映画たち』とは

僕らを作った映画たち

Netflixシリーズ『ボクらを作った映画たち』は、有名映画の制作秘話を紹介するドキュメンタリー。当時のスタッフ・キャストへのインタビューに、ギャグがテンポ良く挟まれます。2021年2月現在、シーズン3まで配信中。

取り上げる映画は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ダイ・ハード』『ホーム・アローン』『13日の金曜日』『ロボコップ』『エイリアン2』『星の王子ニューヨークへ行く』……と往年のヒット作ばかりです。

今回は『ボクらを作った映画たち シーズン2』の『ジュラシック・パーク』の回にフォーカスします。

恐竜が大暴れの『ジュラシック・パーク』。SFXは転換期だった

『ジュラシック・パーク』は、財団の創設者ジョン・ハモンドが琥珀に残った古代の蚊からDNAを採取し、恐竜を現代に蘇らせたことから始まるSF/アドベンチャー。恐竜が暴走を始める島から人間たちが脱出を迫られます。

1990年、スティーブン・スピルバーグ監督はベストセラー作家マイケル・クライトンによる「恐竜とDNA」の企画を知り、興奮(みんな恐竜が大好きですからね)。脚本をクライトンに頼み、映画化を進めます。

次にスピルバーグ監督は『プレデター』『エイリアン』などのSFX担当スタン・ウィンストンに油圧駆動で動く恐竜ロボットの制作を依頼。しかし数トンもの粘土をまとったロボットがジャンプしたり走ったりはできません。これらはアップの映像に絞ることにし、細かい動きはストップモーションアニメの巨匠フィル・ティペットにお願いすることに。

ブレる被写体

実写の映像では何かが動いたとき被写体がブレるのですが、ストップモーションでははっきりした静止画を繋げるため、動きがカクカクします。スピルバーグ監督は被写体ブレを解消するCG制作を盟友ジョージ・ルーカスのVFX制作会社ILM(インダストリアル・ライト&マジック)に依頼。

白羽の矢が立ったのがCGアニメーター、スティーヴ・“スパズ”・ウィリアムズでした。

内緒で作った恐竜CGアニメを独断で披露。映画の出来を決めた

ウィリアムズはジェームズ・キャメロン監督『アビス』(1989)の謎の生命体や『ターミネーター2』(1991)の液体金属型アンドロイドT-1000など、映画史に残るCG表現を生み出した実績があります。被写体ブレの解消だけには満足しなかったウィリアムズは約4カ月かけてティラノサウルスが歩行するCGアニメーションを秘密裏に制作。上司の視覚効果監督デニス・ミューレンの反対が目に見えていたので、プロデューサーのキャサリン・ケネディの試写の際、ゲリラ的に歩行映像を披露しました。

ケネディ、ルーカス、スピルバーグはその完成度に言葉を失い、次の瞬間「これで行こう!」となったそう。

太古の恐竜をDNAで蘇らせるのと同じようなことを、ウィリアムズはCG技術でやってのけました。CGにより「自分たちストップモーション班は絶滅する」とショックを受けたティペットですが、恐竜の動きをウィリアムズに演技指導し、ノウハウを継承します。

ウィリアムズの挑戦は無謀に見えますが、実現するまでの粘り強さと自信に憧れます。デニス・ミューレンのチームにはアカデミー視覚効果賞が贈られました。
もちろん監督やミューレンの判断、チームワークあってこそですが、ウィリアムズの挑戦なしに『ジュラシック・パーク』の大ヒットはなかったかもしれません。

ちなみに筆者はいまだに10歳のとき故郷で観た『ジュラシック・パーク』の感動が忘れられずパンフレットを持っております(表紙が破損しておりますが……)。

ジュラシックパークのパンフレット表
ジュラシックパークのパンフレット裏
裏表紙はテレビデオ(133,000円!)の広告。ご存知のない方に説明すると、テレビとビデオデッキが一体になった商品です。

パンフレットの中にウィリアムズの名前は見つかりませんでした。それに127分の上映時間中、CGショットは7分に満たないそう。でも30年近く、感動が確かに残っています。いま一度『ジュラシック・パーク』スタッフの皆さんに感謝したくなりました。教えてくれた『ボクらを作った映画たち』にも。

Netflix『ボクらを作った映画たち』を楽しもう

『ボクらを作った映画たち』の『ジュラシック・パーク』回では、NHK教育テレビでも観られた『恐竜家族』やキッズステーションで放映されていた『バーニー&フレンズ』が半ば強引に、恐竜ギャグに引用されていて楽しめます。

2022年夏、最新作にして完結編『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』が公開予定ですので、ぜひ『ボクらを作った映画たち』を観て気持ちを高めていただきたいです。

ちなみに2022年2月4日公開の映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』を観るなら『ボクらを作った映画たち』の『ゴーストバスターズ』の回は必見。いろんな意味で、親子の物語である『アフターライフ』をより楽しめるはず。

さらに同じテイストで懐かしのオモチャの制作秘話を知れるNetflixシリーズ『ボクらを作ったオモチャたち』もおすすめです。

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※上記掲載の情報は、取材当時のものです。掲載日以降に内容が変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。

  • 編集者・ライター

    平田提

    株式会社TOGL代表取締役。秋田県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。メディアの編集や、経営者・映画監督・音楽家・漫画家らへのインタビュー、Netflix・アニメ・エンジニア関連のコラム執筆等を行う。

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